将来を嘱望される音楽家を支援するメセナ活動、第21回 ホテルオークラ音楽賞 受賞者決定

20/02/13

株式会社ホテルオークラ東京では、音楽分野のメセナ活動の象徴的イベントとして、「ホテルオークラ音楽賞」を開催しています。1996年から始まったもので、将来を嘱望される音楽家の支援を目的に、選考委員による厳正なる審査を行い、毎年2組の演奏家に『ホテルオークラ音楽賞』を授与するとともに、ホテルの公共性を活かした無料の受賞記念演奏会を開催します。第21回の受賞者は、藤田真央氏(ピアノ)、服部百音氏(ヴァイオリン)に決定しました。

[受賞者]
藤田真央 (ピアノ)
2019年6月チャイコフスキー国際コンクールで第2位入賞。2017年弱冠18歳で第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝。併せて「青年批評家賞」「聴衆賞」「現代曲賞」の特別賞を受賞。2016年には浜松国際ピアノアカデミーコンクールで第一位を受賞するなど、幼少のころから高い評価を得ている。現在、東京音楽大学に在学し研鑽を積んでいる。

服部百音 (ヴァイオリン)
2009年リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールのジュニア部門で史上最年少 第1位及び特別賞を受賞。13年ノヴォシビルスク国際ヴァイオリン・コンクール、15年ゴールドシュタイン国際ヴァイオリン・コンクールでグランプリ受賞。現在、ザハール・ブロン・アカデミーに 在籍、桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースに在学中。

<選評>寺西基之(音楽評論家)
藤田真央(ピアノ):藤田真央さんが昨年のチャイコフスキー国際コンクールで見事第2位に輝いて大きな話題となったことは記憶に新しい。それ以前の2017年に、音楽性を何より重視するクララ・ハスキル国際コンクールに優勝を果たしている ことも、彼の優れた資質を証しているといえるだろう。実際彼の演奏を聴いていつも感心させられるのはその並々ならぬ音楽的センスである。藤田さんの奏でる音楽は、あたかも作品とともに呼吸をしているかのごとく常に豊かな感興が息づき、自然な流れの中に生き生きした魅力を放っている。自ずと湧き上がってくるような豊かな歌心、音色や響きにおける微妙な陰影、フレキシブルなリズム感などが一体となったその演奏は、あたかもその場で作品が生れ出ているかのような新鮮味と自発性に満ち、音楽の喜びを聴く者に伝えてくれる。そうした彼の柔軟なセンスは今後さらなる大きな可能性の広がりを期待させるもので、これからの飛躍が楽しみでならない。

服部百音(ヴァイオリン):服部百音さんを初めて聴いたのは数年前、彼女がまだ10代半ばの時だったが、ひたすら音楽の核心に迫ろうとするような強い気構えが伝わってくる演奏に驚嘆させられた。以後何度も彼女の演奏を聴いてきたが、その印象は変わることがない。それは決して、若手にありがちな闇雲に音楽へのめり込むといったものではなく、作品に 真正面から向き合ってじっくり表現を考察し、ただならぬ集中力で音にしていくような演奏で、その説得力の強さは並外れたものがある。完璧な技巧を持ちながらもそれを誇示することは一切せず、ひたすら音楽的表現に  目を向けている点もすばらしい。こうした服部さんの美質は、早くから音楽に対して厳しい姿勢で臨み、これまで一貫してぶれることなく自身の音楽を追求し続けてきたからこそ培われてきたといえるだろう。今後さらにそうした道を究め、表現を掘り下げながら、いっそうの高みへ向けて歩んでいってくれることを期待したいものである。

[第21回 ホテルオークラ音楽賞 概要]
【受 賞 者】 藤田 真央 (ピアノ)、服部 百音 (ヴァイオリン)
【選考委員】
選考委員長: 成瀬正治 (株式会社ホテルオークラ東京 代表取締役社長)
選考委員: 堤剛(チェリスト、公益財団法人サントリー芸術財団代表理事、サントリーホール館長、日本藝術院会員)、大友直人 (指揮者、東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団音楽監督) 、寺西基之 (音楽評論家、公益財団法人東京交響楽団 監事、公益財団法人東京二期会 評議員、公益財団法人 アフィニス文化財団 理事、公益財団法人 日本ピアノ教育連盟 評議員、公益財団法人 日本交響楽振興財団 評議員)
【奨励金】各100万円
【副賞】The Okura Tokyo スイートルーム ペア宿泊券、記念トロフィー

[ホテルオークラ音楽賞とは]
 社会貢献・芸術文化事業の一環として1996年の開業35周年を機に、近年めざましい活躍を遂げ、さらに将来が嘱望される音楽家を支援・育成するための制度として創設しました。1996年に第1回、2000年に第2回を開催しましたが、音楽家支援強化のため、2000年以降は同賞の授賞式および受賞記念演奏会を毎年実施し、今回で21回目を迎えます。つきましては、2020年4月28日(火)、The Okura Tokyo 宴会場にて授賞式と受賞記念演奏会をホテル会員プログラムOne Harmony会員限定で開催します。

[ホテルオークラ音楽賞 歴代受賞者]
第1回 (1996年度)  矢部達哉(ヴァイオリン)、緑川まり(声楽/ソプラノ)
第2回 (2000年度)  阪哲朗(指揮)、佐々木典子(声楽/ソプラノ)
第3回 (2001年度)  徳永二男(ヴァイオリン)、森麻季(声楽/ソプラノ)
第4回 (2002年度)  上岡敏之(指揮)、高橋薫子(声楽/ソプラノ)
第5回 (2003年度)  小川典子(ピアノ)、林美智子(声楽/メゾソプラノ)
第6回 (2004年度)  若林顕(ピアノ)、大萩康司(ギター)
第7回 (2005年度)  小山実稚恵(ピアノ)、アントネッロ(古楽アンサンブル)
第8回 (2006年度)  小菅優(ピアノ)、庄司紗矢香(ヴァイオリン)
第9回 (2007年度)  村冶佳織(ギター)、佐藤俊介(ヴァイオリン)
第10回(2008年度)  田村響(ピアノ)、神尾真由子(ヴァイオリン)
第11回(2009年度)  辻井伸行(ピアノ)、南紫音(ヴァイオリン)
第12回(2010年度)  金子三勇士(ピアノ)、松田理奈(ヴァイオリン)
第13回(2011年度)  宮田大(チェロ)、萩原麻未(ピアノ)
第14回(2012年度)  河村尚子(ピアノ)、横坂源(チェロ)
第15回(2013年度)  成田達輝(ヴァイオリン)、三浦文彰(ヴァイオリン)
第16回(2014年度)  クァルテット・エクセルシオ(弦楽四重奏)、郷古廉(ヴァイオリン)
第17回(2015年度)  崔文洙(ヴァイオリン)、上野星矢(フルート)
第18回(2016年度)  鈴木優人(指揮・作曲・ピアノ・チェンバロ・オルガン)、新倉瞳(チェロ)
第19回(2017年度)  毛利文香(ヴァイオリン)、山根一仁(ヴァイオリン)
第20回(2018年度)  小林沙羅(ソプラノ)、岡本侑也(チェロ)

[音楽分野メセナ活動] 
―音楽は、時代や国境を越えて響くメッセージ―
 株式会社ホテルオークラ東京では、誰もが音楽を楽しめる環境を作り、次世代を担う才能を育てながら人々の心と心を繋ぐという信念のもと、さまざまな活動を行ってきました。2017年3月には、芸術・文化支援ファンドである「Hotel Okura Tokyo Cultural Fund」* を設立。音楽分野メセナ活動については、「音楽」に特化した活動を行う団体へ寄付をすべく活動しています。
*2019年9月より新ホテル開業に合わせ「The Okura Tokyo Cultural Fund」へ名称変更

[ロビーコンサート25(毎月25日 17時30分~18時)]
 開業25周年(1987年)を機に毎月25日にメインロビーを会場に、無料にてアコースティックコンサートを 開催しています。2011年からは、大友直人氏監修のもと幅広いジャンルの中から演奏者が迎えられ、2020年2月で第399回の開催となります。

[お問い合わせ]
The Okura Tokyo
TEL:03-3582-0111(代表)