野村不動産 プラウド上原フォレスト 誕生記念特別インタビュー
「次代へ残すために一役を担う ビンテージ保有者の責任と喜び」
株式会社ヨネヤマ 代表取締役 武井 泰士さん

クラシックカーを所有し、ラ・フェスタ ミッレミリアなどのラリーにも参加する。
「歴史あるものにはストーリーがあっていい」と言い、葉山には歴史的建造物を所有し、保全活動にも励む。そんな武井泰士さんが語る、ビンテージ物の魅力とは。
既存の建造物を生かして新たに誕生する野村不動産の「プラウド上原フォレスト」についても語っていただいた。

長い歴史の一部になる喜び

所有されているクラシックカーについて教えてください。

「一台は1953年式の『フィアット フルアクーペ』。ピエトロ・フルアというカーデザイナーがいて、年前のイタリアでのモーターショーに出品するために製作したプロトタイプの車です。もう一台は僕が生まれた1965年式の『アルファロメオ ジュリアスパイダー』。いまフルレストア中で、内装のコーディネートのことを考えるだけで胸が高まります。」

フィアット フルアクーペはかなり古い車ですが、その特徴は?

「プロトタイプなので実際には生産されていません。でもディテールのクオリティの高さには目を見張るものがあります。驚くのは内装の塗装です。80年代にブレークしたフェラーリF40など往年の名車に採用されている結晶化塗装が、この年式の車ですでに採用されているわけですから。さらに『スタンゲリーニ』というスポーツカーに使用されたカム シャフトが使われ、ラグジュアリーでありながらレスポンスがとてもタイトでレーシー。不思議なアンマッチの連続なのも魅力です。」

2台ともイタリア車です。特に思い入れがあるのでしょうか。

「少しずつ馴染んでいく感覚と表現すればいいのでしょうか。イタリア車って未完成なところがあり、よくじゃじゃ馬に例えられるように、凄く手が掛かる。でも、手を加えるほどに味が出てくるのです。あと、ドイツ車や英国車はレプリカが多い。コーチビルダーが復刻車をつくっていますが、イタリア車にはそれが少ないのが良いです。素性が良いというか、その本物感も自分に合っていると思います。」

希少なクラシックカーとはどのように出会い、どのような気持ちで所有されているのでしょうか。

「ラ・フェスタ ミッレミリアなどクラシックカーのレースに参加するのですが、こうしたレースに参加する方々の間では、古くから車が人から人へと流れる慣習があるようです。僕は専門店で車を手に入れましたが、購入時に前のオーナーを紹介されて、大事に乗らないといけないということを学ぶわけです。フィアット フルアクーペは製造されてから66年の月日が流れていますが、この先、一生、僕が乗っていられるわけではありません。だから、車の長い歴史において、一定期間だけお預かりしているという感覚と言えば正しいでしょうか。同時に歴史あるものを受け継ぐという責任感も芽生えるわけですが、それがまた自分も歴史の一部になれたようで嬉しいのです。これは妻と共に葉山で保全活動に 取り組んでいる加地邸に対しても同じ。1928年の建築から3代にわたって加地家が受け継いできた別荘を、僕らが4代目のオーナーとしてお預かりしているだけですから。でも次代に残すという役割を果たしていくなかで、オーナーとしての責任と共に、確かな誇りを感じられるのも事実です。

ラ・フェスタ ミッレミリアなどのラリーに参戦する武井さんと愛車の「フィアット フルアクーペ」(1953年式)。ラリーには基本的に奥様と一緒に参戦するという。「何日間も苦労を共にするので、ゴールした時は感動します」と奥様の雅子さん。夫婦の会話も増えるそうだ。

 

ビンテージがもたらすこと

どのような時にビンテージの物を所有して良かったと感じますか。

「フェラーリに乗っていた時期があるのです。面白いのが、フェラーリでちょっとでも路上に車を停めたなら、凄く煙たそうな顔をされるんで す ね(笑)。でもクラシックカーだと「おおー」って顔になる。後ろを振り向いてくれたり、愛されているのが伝わってくるのです。他人から話しかけられやすくなったとも思いますが、人との関係で言えば、加地邸を所有すると急に、古い邸宅を持つ人たちとのつながりが増えたのも同じようなことかもしれません。ビンテージの物には人との出会いに導いてくれる見えない力があり、ある種のパスポートのような役割を果たしていると思うことがあります。

ところで、来年の1月下旬に改修工事が完了する予定の野村不動産の『プラウド上原フォレスト』は、1984年に誕生した既存のビンテージマンションをベースに、新たな価値を加えて、現代に蘇らせるマンションとして早くも注目されています。こうした取り組みに対して武井さんはどのように思いますか。

「地震が多い国だからか、日本では古い建物が建て替えられることが多いのが現状です。大量生産・大量販売されたような建物はどんどん刷新されるべきですが、価値のある建物を残していこうという取り組みにはとても共感できます。古いものには創ろうとしても創れない独特の重厚感があり、それぞれにストーリーがある唯一無二の存在です。こうした空気感のなか、住まいとして機能的であるならば、毎日の生活がどんなに豊かなものになるでしょうか。あと、ロケーションが徳川家のお屋敷跡地というのも魅力的。風水などの気もいいはずだし、歴史のストーリーが紡がれたまさに一等地。ここで昔、どんな生活が営まれていたのか、そんな想像が膨らむ暮らし、まさにビンテージならではで最高です。

 

profile

武井 泰士 さん

1946年創業で食品容器の企画販売を手がける株式会社ヨネヤマの代表取締役社長。大学卒業後、ジャンニ・ヴェルサーチに勤務。芸能人やアスリートへの営業を担当した後、現職に。三代目社長として100年企業を目指している。クラシックカー愛好家として、La Festa Mille Miglia に参戦するほか、フランク・ロイド・ライトの日本での建築を支えてきた建築家、遠藤新の設計による『加地邸(葉山町)』の保存活用プロジェクトにも力を入れる。

加地邸公式 HP http://kachitei.link/

 

Information

プラウド上原フォレスト TEL 0120-15-1984