ワイキキの賑わいから車でわずか20分足らず。ダイヤモンドヘッドの東側に広がる閑静な高級住宅街の一画に佇む歴史的なホテルが、ザ・カハラ・ホテル&リゾート。創業当時からハリウッドスターや多くのセレブリティに愛され、先日退位された明仁上皇ご夫妻もご宿泊されたことのあるハワイ屈指の名門ホテルは今年で開業55周年。
ロビーには開業当時から幾多のゲストを迎えてきたベネチアングラスのシャンデリアが今も変わらず室内を照らし続けている。歴史と伝統を守りながら常に進化を求め続ける姿勢が、このホテルが顧客に愛され続ける理由だ。
ゆったりとした広さのゲストルームはパステルカラーでまとめられ、クラシカルな装い。上皇ご夫妻がご宿泊されたインペリアルスイートのベッドルームでは、ハワイアンリーフをモチーフにしたチーク材のスライディングドアが重厚さを演出する。窓を開けてラナイへ出ると眼下にはプールと白砂のビーチが広がる。
プールの先には波の穏やかなビーチが続く。
「カハラビーチスイート」のラナイからは直接ビーチへ出ることができる。
落ち着いた気品漂う「インペリアルスイート」のベッドルームとエレベータ内に飾られているアンティークの人形。
昨年5月にリニューアルしたレストラン「ホクズ」はグローバル・ハワイアン・キュイジーヌをコンセプトとしたメインダイニングだ。料理長のエリック・おとー氏の創造性溢れる料理で、常にハワイアンのベストレストランのひとつとして高い評価を得ている。リニューアルに合わせてメニューも一新されており、ここでしか味わえない洗練された料理と種類豊富なワインを堪能できる。
ザ・カハラ・ホテル&リゾートでは、ハワイを守るプロジェクト「KISCAプロジェクト」に取り組んでいる。ハワイのNGOと共にハワイ固有の原生林などの保護活動を通じて、従来のホテルの枠を超えて美しいハワイの自然と文化の保存と継続に貢献している。また、2020年にはこのホテルのDNAを受け継ぐザ・カハラ・ホテル&リゾート 横浜がみなとみらいにオープンする予定だ。伝統と変革の両輪で進化を続けるカハラの歩みはとどまることを知らない。
ホテルの象徴としてロビーを彩るベネチアンガラスのシャンデリア。
メインダイニングの「ホクズ」はどの席からもパノラマビューのビーチを眺めながら食事を楽しめる。
右から/ハマチのクルードラディッシュ、アヒアマリージョライムソース。 ロブスターとスペルト小麦のリゾットにコニャックソースで彩る。 ワインペアリング付きのシェフズテイスティングメニューのひと皿。
ハワイと世界の味を融合させた独創的な創作料理が味わえる。
Information
THEKAHALAHOTEL&RESORT
5000 Kahala Ave., Honolulu Hawaii
TEL +1-808-739-8888
https://jp.kahalaresort.com/
【日本でのお問い合わせ】
オークラ ニッコー ホテルズ 予約センター
TEL 0120-52-8013(09:30〜18:00)
インタビュー
ハワイの風の流れを感じて生きる
ヴェンタスデザイン代表 ルイス玲子さん
ハワイに暮らすインテリアデザイナー、ルイス玲子さんに、これまでの人生とハワイアンライフについてお話をうかがった。
「まさか私がハワイの地に生活基盤を築くとは思いもよらないことでした」。聡明で柔和な笑顔で語ってくれたルイス玲子さん。だがお話を伺うと、それはある意味必然だったのかもしれないと思わせられる。
玲子さんのこれまでの経歴はとても国際的で、ご自身の思い描く通りの人生を歩まれてきた方といった印象だ。小学生の頃にはすでに、将来はジャーナリストとして世界を飛び回り、世界中の政治や経済、文化を自分の目で見て伝えていきたいと思っていたのだそうだ。大学時代にはその夢を実現させるべく、政治や経済だけでなく、比較文化学なども学んでいたのだという。
大学卒業後はCNN日本支局のシニアプロデューサーを16年務め、その後、夫の転勤に伴ってアメリカへ渡り人生初の海外生活を経験することに。そこで長年興味を抱いていたインテリアの仕事をしてみようと、42歳の時にアトランタの大学でインテリアデザインを学び始めたのだった。「私、勉強が大好きなんです」と玲子さんは語る。
CNNで培ったジャーナリスト目線での物事の捉え方と勉強好きが高じて、大学卒業後はすぐに世界の一流ホテルを手がける大手デザイン会社で働くことに。ホテルやリゾートのデザインの仕事で自身の才能をいかんなく発揮し、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アメリカの超一流プロジェクトの一員として、様々な人種の人たちと文化や宗教を超えて仕事をこなしていった。
玲子さんがハワイを訪れたのは、やはり夫の仕事の都合だった。そしてハワイの地で、自分の思い描くようなプロジェクトや経営をしてみたいと、自らヴェンタス(ラテン語で風の意味)デザイン社を立ち上げる。「ヴェンタスデザインは、お客様のお宅に通う風の流れを変え、新たな命の息吹を吹き込む役割を果たすことを目標として他に例のない美を追求していきます」。米国内外のデザイン分野で多くの受賞歴を誇る玲子さんだが、自身のキャリアについても会社についても語り口は常に謙虚だ。
現在、玲子さんはお母様と二人でアラモアナの西、ワード・エリアの一等地に佇む高級コンドミニアムに暮らしている。取材時に同席された玲子さんのお母様はもともとハワイが好きで、以前からよく遊びに来ていたのだという。数年前まではハワイに来るとパラセイリングを楽しんでいたというから活発な方なのだろう。二人が住んでいるコンドミニアムは、玲子さんが自らデザインしたバリアフリーでエレガントな居住空間となっており、そこでハワイアンライフを満喫されているという。
リビングの一角を茶室に改装して茶道を教えているという玲子さんは、お弟子さんとお母様と一緒に茶会を開くのをとても楽しみにしている。茶道の精神を表した「和・敬・清・寂」、調和と尊重、清らかさと安らぎは、玲子さんの印象そのものだった。
開放的なハワイスタイルの茶室がハワイと日本文化の架け橋となる。
右から/お母様のために室内にエレベーターを増設し、シニア対応の環境とデザインに公私ともに取り組む。 茶席の準備をする水屋とよばれるスペースは、玲子さんのデザイン。 元からハワイが大好きだったというお母様と幸せに暮らす。
Profile
ルイス玲子
ヴェンタスデザイン代表。CNN東京支局でシニアプロデューサー職を務めた後、渡米。その後インテリアデザイナーに転身。米国インテリア、環境デザインなどの資格を保有し、アメリカデザイン協会ハワイ支部で日本人として初めて支部長を務めた経験を持つ。