FENDI 17/18 AW オートクチュール コレクション Vol.3

およそ1週間に渡りパリで開催されていた17/18秋冬オートクチュール コレクション。その最終日の7月5日、フェンディがショーを行いました。クリエイティヴ・ディレクターであるシルヴィア・フェンディとカール・ラガーフェルドが、フェンディにとって3回目となるクチュールコレクションの会場に選んだのは、1913年にアール・デコ様式で建てられ、パリで最も美しい劇場の一つとされているシャンゼリゼ劇場。ショーの開始前と閉幕後には、広いエントランスロビーでシャンパンやプティ・フールが振る舞われ、“フェンディのクチュールコレクション ”という芝居の幕間のように観客たちを華やかにくつろがせていました。
 
「別世界からの花たち」と題されたコレクションで披露されたのは、日本での販売参考価格が900万円から5000万円という四十二点の作品。ミンク、セーブル、スワカラ、フォックス、リンクスなど希少なファーを手作業で完成させた、最も精巧で最も高級な、色とりどりの花々をまとったモデルたちが緑の小道に見立てたランウェイを颯爽と歩きました。
 
コレクション全体を脇から支える重要な役割を果たしていたのが同時に発表されたファー使いの個性的なバッグ。クチュールならではの高度な技術、完成までに要する忍耐力や作業時間とともに、プレタポルテメゾンの軽やかさも反映されていて、フェンディの魅力が散りばめられていました。
 
メゾンのノウハウと特徴を存分に発揮し、総合的に表現しているフェンディのローマ本店にはファー専用のアトリエがガラスドア1枚を隔てて併設されており、店内をゆったりと買い回る顧客たちはクリエーションの舞台裏を垣間見ることができます。昨年春にここを訪ねたのですが、他のメゾンの本店ではなかなか見ることができないファーピースの物作りの過程をさりげなく見せられるところに、フェンディの自負と強さを感じました。

 

筆者プロフィール

Luminateo Inc.代表 久世留美子
 
伊、仏、英、日の4ヶ国語を駆使し日本と欧州各国を繋ぐビジネスプロデューサー。ファッション、食、アートなどライフスタイル業界に広いネットワークを持つ。

 
ドロップス・ウォーターフォール・ドラゴンフライドレス。手作業で仕上げたミンクの刺繍とブラックレースネット。

左から/フラワーレースウィングケープドレス。ミンクの刺繍とミンクのネットケープを施したホワイトレース。 ウイングケープとミニドレス。ケープはミンク、 フォックスフラワー、フェザーをアップリケした手染めオーガンジー 。

左から/ミンクが刺繍された手描きジャガードビーコートとマルチカラープリントオーガンジーにミンクがステッチされたドラゴンフライスカート。 ミンクによる花々を施したオーガンジーによるレースの裏地付きウィングケープと、ビーズや3Dミンクフラワーで飾ったマルチレイヤーのヌードカラーレースによるドラゴンフライドレス。

カール・ラガーフェルドには総立ちの観客から2度のアンコール。

 

Information

フェンディ ジャパン
TEL 03-3514-6187