コンテンポラリー・アーティスト Ai Weiwei & フォトグラファー Benjamin Lee

Ai Weiwei/アイ・ウェイウェイ
1957年北京生まれ。1978年北京電影学院(フィルムアカデミー)に入学。1979年および81年に文化大革命後の中国における初の前衛芸術集団「星星画会」の展覧会に参加後ニューヨークに渡り、アメリカの現代美術やマルセル・デュシャンなどヨーロッパ・モダニズムの影響を受ける。1999年、自宅兼スタジオの設計を機に建築分野へと活動の場を広げ、その後50を超える建築系プロジェクトに参加。シドニー・シャーマン現代美術財団およびキャンベルタウン・アーツ・センター(2008)の個展などとともに、「第11回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展(2008)」、「ドクメンタ12(2007)」カッセルなど、世界各地で中国の現代美術を紹介するグループ展に参加。現代中国で最も刺激的なクリエイター。

Benjamin Lee/ベンジャミン・リー
中国出身。カナダ・トロントのアート研究所で学びトップの成績を収めた後、ロンドンでフリーランスの広告・エディトリアル写真家として活躍。世界的な帽子デザイナー、ステファン・ジョーンズのポートレート作品であるフォード広告賞、フィリップ・スタルク(プロダクトデザイナー)を撮影した3部作でローデン・ストック/ペンタックス賞銀賞、トヨタのキャンペーンポスターで日経広告賞グランプリに輝くなど、受賞多数。これまでタヒチ、キューバ、カウアイ、シベリア、香港、モルディブなど世界中を渡り歩き、多くの作品を残している。雑誌「PEN」において世界のアーティスト、クリエイターの「創造の現場」連載。

アートと時代の共時性

 2008年北京オリンピックのメインスタジアムとなった「鳥の巣」。そこで行われた数々の祭典とともに、一度見たら忘れられない独創的な造形美により世界中で大きな注目を集めたスタジアムは、現代アートを代表するスイス人建築家ヘルツォーク&ド・ムーロンと中国人アーティスト、アイ・ウェイウェイによる作品。
 美術、建築、デザイン、出版など、多岐に渡りクリエイティブな活動を続けているアイ・ウェイウェイ。これまで様々な個展やグループ展を経て、アートや文化、歴史、政治、伝統、そして個という存在を多彩に表現してきた。とくに悠久の歴史をもち、近年変化の著しい中国をモチーフにした作品群は、アーティストの個性とアートのもつメッセージ性を見事に融合させている。
 現在、森美術館において開催されている『アイ・ウェイウェイ展 – 何に因って?』は、1990年代以降の主要作品を中心に、新作6点を含む26作品が展示され、過去最大級の規模を誇る。コカ・コーラのロゴがペイントされた漢時代の壺<コカ・コーラのロゴが入った漢時代の壺>、42台の永久社(中国を代表する自転車メーカー)の自転車を無機質に組み上げた<フォーエバー>、漢時代の壺を床に落とすパフォーマンスのポートレート<漢時代の壺を落とす>、昨年起きた四川大地震で亡くなった子供たちに捧げた通学用バックパックをつなげた作品<蛇の天井>、2007年『ドクメンタ12』参加の映像作品<童話 – 1001人の中国人訪問者>など、人間が地球上で育んだ歴史や文化に、その物体がもつ意味を解体・再構築し、アーティストは作品を通して問いかける。それらはシニカルなだけではなく、愛であり、夢であり、希望であり、未来へのメッセージ。
 今回、この個展に先駆けて来日したアイ・ウェイウェイを、写真家ベンジャミン・リーが撮り下ろした。これまでフィリップ・スタルクや安藤忠雄、三宅一生などのポートレート作品、雑誌ヴォーグやPENなど、常に第一線で活躍してきた写真家が、同じ中国出身のアーティストの現在を切り取った作品。アートはいま、時代に問いかける。

漢時代の壺を落とす
平行棒1立方メートルのテーブル
/「漢時代の壺を落とす(Dropping a Han Dynasty Urn)」1995年
/「平行棒(Kippe)」2006年
/「1立方メートルのテーブル(Cubic Meter Tables)」2006年 ※奥「無題」2006年

INQUIRIES

アイ・ウェイウェイ展 - 何に因って?
AI WEI WEI – ACCORDING TO WHAT?
現代中国で最も刺激的なクリエイターの挑戦

11月8日(日)まで開催中
森美術館 ※会期中無休
東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53階
TEL 03-5777-8600
www.mori.art.museum

ベンジャミン・リー写真展
THEATRE OF THE FACE
Photographs by BENJAMIN LEE

www.benjamin-lee.jp
担当: さかより090-8110-9564
11月8日(日)まで開催中
TWO ROOMS GRILL I BAR
東京都港区北青山3-11-7 AOビル5F
TEL 03-3498-0002
www.tworooms.jp