三島のフレンチ

BISTRO La table de Kudo

 三島駅に程近い一角に、フランス料理「BISTRO La table de Kudo」はある。もともと「table midinette」として地元で人気を集めていたが、今年4月に場所を変え、新たにBISTRO La table de Kudo として生まれ変わった。
 シックなモノトーンを基調にした店内。高い天井と片側一面の窓から差す日差しが、ゆったりとした開放感を演出する。店内中程には古材のパッチワークで彩られたカウンターがあり、来客を店内に温かく迎え入れる。カウンターの奥からは芳しい料理の香りが漂い、調理器の軽快な音が店内に響き渡り、調理場の熱気を肌で感じる。美食の予感。店内はかしこまらず、とても居心地の良い空間に包まれている。「ヨーロッパでは、夜に仕事が終わって身支度を整えてから、改めて食事に出掛けます。その文化を大切にしながらも、肩の凝らない料理を楽しんでいただけるように心掛けています」と笑顔で語る工藤由紀パティシエール。その奥では、工藤康二シェフが一所懸命に心を込めた一皿を仕上げている。肩肘張らずにディナーを楽しむ、それが三島のフレンチBISTRO La table de Kudo。

本場ビストロの味

 BISTRO La table de Kudoは、フランス料理のメニューの基本〝3plats〟にこだわる。つまり前菜1皿、メイン1皿、そしてデザート1皿の3皿。その時期に最も旬な食材を世界各地から取り寄せ、自家栽培の無農薬野菜とともに1皿ごとの完成度を高め、最高の味を目指す。
 「一皿にそれなりのボリュームをつけて、記憶に残る味作りを心掛けています。そして肩の凝らない料理。一度ご来店いただいたお客様に、味でこの店を思い出してほしいですね」と語るのは、工藤シェフ。シェフはフランスの『ル・コルドンブルー』で基礎を学びリヨンの『アランシャペル』で腕を磨いた後、帰国。そして代官山のフレンチ料理店などを経て、2006年三島に「table midinette」をオープンさせ、現在はBISTRO La table de Kudo でシェフとして毎日厨房に立っている。
 工藤シェフは、フランスで親しんだビストロの味にこだわる。
 「3Platsはビストロの基本です。それぞれの料理に敬意をもち、一つひとつの味を伝えていきたい。料理の各工程を大切に、崩しすぎると食材に失礼なので、うまみをどれだけ残せるか、よりフランスに近い味を意識しています。そして皿の上で、お料理を『魅せる』ように心掛けています」。
 食材に関しても、その材料の最適な産地を意識し揃えるという。そして熟成させた食べ頃の料理でもてなす。

自家製厚切りスモークサーモンイサキのポワレ
左/自家製厚切りスモークサーモン – たっぷりの野菜で漬け込み、軽くスモークしたサーモンを熟成させてお出しします。
右/イサキのポワレ – 季節野菜のエトゥフェ、バルサミコソース、旬のイサキをカリッとポワレし、ストゥブ鍋で蒸し焼きにしたたっぷりの野菜と一緒に。

成長するシェフ、そして味覚

工藤康二シェフと工藤由紀パティシエール
工藤康二シェフと
工藤由紀パティシエール

 シェフは定番メニューの大切さを力説する。
 「定番メニューは変わらないすごさがあります。例えば鴨のコンフィはビストロの定番で他の店にもあるけれど、それぞれの味がある。店の味を維持する指標として、定番はメニューに欠かせません。毎日作り続けるから、おいしくなる。一度うちで定番メニューを食べていただいたら、半年後にもう一度同じものを食べていただきたいですね。私も成長していますから、必ず前回よりもおいしくなっています。うちのメニューは3Platsですが、毎月違うものを食べていただいても一巡するのに半年はかかります。一巡したら、もう一度最初のメニューに戻って食べていただく。そうすると味はもちろんですが、お客様の味覚も熟成されているので、さらに奥深い味をお楽しみいただけます。そうして味を楽しみ、お客様にはリピーターになっていただくことが私たちの最大の喜びですね」。

INQUIRIES

BISTRO La table de kudo

BISTRO La table de kudo

静岡県三島市文教町1-9-11 Z会文教町ビル1階
TEL 055-941-5678

http://www.table-kudo.com/