光溢れるドバイへ
ダイナミックに進化し続ける都市
東京・成田を深夜に飛び立って約11時間。エミレーツ航空の心地よいシートで眼が覚めると、夜空が白々と明けはじめたドバイへと到着した。
世界の人々で賑わうドバイ国際空港を出ると、街はまだ目覚めたばかりで、すがすがしい空気に包まれていた。ドバイの季節は夏と冬の二季。亜熱帯気候に属し、夏の平均最低気温は30度。盛夏ともなれば日中の気温は50度を越えることもたびたびあるが、一方、冬の平均最低気温は14度と意外にも涼しい時期もある。
ドバイの中心地へと向かうにつれ、広々としたハイウェイにクルマが次第に増えてくる。砂漠の地であることは、車窓から眺める景色にそこはかとなく感じられるが、ドバイ中心部にいる限り、その気配をほとんど感じることはない。建設中と思しきビルやプロジェクトもところどころで見受けられるものの、聞いていた以上に近未来的な都市として大きな発展を遂げている。その景観は大都会に慣れた日本人の眼を持ってしても、ただただ圧倒されるばかりだ。いまなおダイナミックに進化し続ける都市。それがドバイのファーストインプレッションだった。
都会とリゾートの融合。人々が交差する現代のオアシス、ドバイ
ドバイは、アラブ首長国連邦を構成する首長国の一つ「ドバイ首長国」の首都。1970年代まで小さな港町にすぎなかったが、ドバイ建国の父といわれるシェイク・ラシッドによって石油発掘が行われ、以後、発展を遂げながら、ここ10年あまりで現在の近代的な都市へと急速に変貌を遂げた。整備されたハイウェイ、夏の酷暑を凌ぐために冷房設備を備えたバス停、日本の最新技術が投入されたドバイメトロ、天空へ突き刺す剣のように聳え立つ世界一のタワービル、バージュ・カリファ……、その近未来的な姿からは、ここが、つい40年ほど前まで真珠採集を生業とする砂漠の小さな漁村であったことなど想像もつかない。
だが、いまや世界の金融センターとしても機能する最先端の都市でありながら、そのすぐ横には広大な砂漠が、そしてエメラルドグリーンに輝くペルシャ湾がいまも変わらず広がっている。海辺は、世界のセレブリティが別荘を入手していることで有名なパーム・ジュメイラ島をはじめ、月から見える巨大な人工島プロジェクトが現在も進行する一大リゾートエリアである。超近代的な都市とエキゾチックなビーチリゾートのコントラスト。ドバイはまさに進化した砂漠のオアシスだ。
多様なステイと多彩なアトラクティブ。ロングステイしたくなるアラブの休日
観光のメニューはとても豊富だ。リゾートステイはそれだけを観光の主たる目的にしてもいいほど充実したプログラムや施設を擁しており、ファミリーと過ごすステイから最高にラグジュアリーなステイまで多種多様なニーズに応える。特にスパはオリエンタルスタイルからヨーロッパスタイルまで、ホテルやリゾートによって特色を打ち出しており、エキゾチックな雰囲気の中、贅沢なリラクゼーションタイムを堪能できる。
ダイニングもドバイステイの大きな楽しみのひとつ。ゴードン・ラムゼイなど三ツ星シェフが腕を振るう最上級のグルメから、ストリートでは多国籍に食が味わえる。食べる、泊まる、の選択は実に豊富だ。
もちろんタックスフリーとあってショッピングも魅力の一つ。世界最大のションピングモール、ドバイモールや昔ながらのスパイスやゴールドを扱うスーク(市場)などは、買わずとものぞくだけも楽しい場所。ドバイモールの噴水ショーはラスベガスもかなわない幻想的で見応えのあるショーだ。
アクティビティも充実している。SUVで砂漠をダイナミックに走破し、砂漠で幻想的なひと時を過ごすデザートツアーや自然を観察するエコツアー、ゴルフにマリンスポーツと多彩にラインナップ。自動車のドバイ24時間耐久レースや競馬などイベントも年間を通じて数多く開催される。街の進化のみならず、観光やアクティビティに関してもこの10年で醸成され、おそらくドバイ・ショック以前と比べて、より高い質とサービスを持ったプログラムへと発展しているように感じられる。
刺激の中に心地よさがある コスモポリタンワールド
ドバイステイで楽しみたいひと時は、イスラムの週末、金曜日の礼拝前となる木曜日の夜である。街へと繰り出すことも、ホテルで過ごすことも、実に楽しい。イスラム教の国だけにアルコールは、残念ながらホテル内や一部エリアでしか楽しむことはできないが、過ごしやすくなる夕方から夜ともなれば、街やホテル、レストランは活況を呈する。
旧市街が広がるドバイクリーク(運河)沿いには、露店が並び人々で溢れかえる。アラブの伝統的な衣装や他のイスラム圏の民族衣装をまとった人が行き交い、運河には豪華なレストランシップや昔ながらのアブラと呼ばれる水上タクシーが水面を飾る。かつて、ここがシルクロードの拠点として栄えた場所であったことを彷彿とさせるひと時。肌で感じるエキゾチズム。街も比較的きれいに保たれ、治安もとてもいい。人波に紛れ込み、露店やカフェを巡っているだけで、自然と自身がドバイの中へと溶け込んでいく。イスラムという異文化圏の中で、異国の人々が人種を超えて集う、このコスモポリタンな雰囲気は刺激的だ。「アウェーな感じがしない」同行していた記者がそうつぶやいた。自分が異邦人であることを忘れさせる瞬間。ドバイの週末は、刺激的で心地よい。
ホテルやリゾートで過ごす時間もまた格別だ。週末ともなれば、超高級車がホテルのフロントを飾り、レストランやバーは社交場のような賑わいを見せる。ラウンジやプールサイドで心地よい夜風とともに静かに過ごすこともできる。ほのかに漂う、シーシャ(水タバコ)の甘いフレーバー。日常では味わえない特別なアラビアンナイトがそこに広がる。
都市という緊張とリゾートという開放。この二つが互いに刺激しあい、そこに人々が介在することで、洗練されたサービスやファシリティが生まれ、磨きをかける。質を高めあう循環がドバイにはある。だからこそ、世界の一流ホテルや超ラグジュアリーホテルが軒を連ね、ヨーロッパをはじめとする世界のトラベラーから支持されているのかもしれない。2020年にはアラブ圏では初となる万博開催も予定されている。きっとさらに磨きがかかるに違いない。ぜひ、進化するドバイを、そのパワーを肌で感じてはいかがだろう。
アーバンかリゾートか。魅力溢れる二つのドバイステイ
摩天楼が聳える都会的なホテルステイも、エメラルドグリーンの海が広がるリゾート地で過ごすのも、ドバイに訪れた際の大きな魅力。だが、砂漠の厳しい気候に加え、アルコール規制のあるイスラム圏。ストレスなく上質な休日をドバイで過ごすなら、よりよいホテル選びが重要だ。ここでは、とっておきのおすすめホテルを紹介する。
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ダイナミックに進化し続ける都市ドバイ
ドバイの活力を肌で感じるアーバンステイ – Shangri-La Hotel, Dubai (シャングリ・ラ ホテル ドバイ)
世界一の超高層タワービル「バージュ・カリファ」をはじめ、近未来的なドバイのアーバンな世界を堪能するなら、アジアの名門ホテル、「シャングリ・ラ ホテル ドバイ/ Shangri-La Hotel, Dubai」がおすすめだ。金融センターというドバイのビジネスの中心街に位置し、バージュ・カリファや世界最大級のドバイモールからも至近、ドバイメトロ駅も隣接し、ドバイを縦横無尽に楽しむ拠点としては絶好のロケーションにある。その場所性もあってビジネス・エグゼクティブにも高い支持を得ているのはもちろん、ハリウッドスターも投宿するほど評判のホテルだ。華美すぎず、都会的で上質なデザインに包まれた空間、そして、ホテルスタッフの行き届いたサービスは、快適で心地よいステイを約束してくれる。
ゆったりと都会のドバイステイを味わうなら、高層階にあるホライゾンクラブを利用するのがいい。専用のレセプションやラウンジが用意されているほか、専用のスポーツジムもある。ここからの眺望は素晴らしい。部屋やラウンジからは、聳え立つバージュ・カリファの姿とダイナミックなドバイの街並みを眼下に見ることができる。特に夜景は幻想的だ。
グルメも充実している。モロッコ料理の「マラケシュ」、チャイニーズの「シャンパレス」シーフードレストラン「アムワジ」など、ドバイでもトップクラスのダイニングが楽しめる。落ち着いたバーラウンジやドバイローカルの人気プレイスポット、プールサイドのクラブバー「アイキャンディ」もあり、ドバイのアーバンステイを心行くまで楽しめる。
Shangri-La Hotel, Dubai
http://www.shangri-la.com/jp/property/dubai/shangrila
上質のアラビアンリゾート – One&Only Royal Mirage (ワン&オンリー・ロイヤルミラージュ)
ケープタウンやバハマ、モルディブなど世界のリゾート地で上質なホスピタリティとサービスを提供している高級リゾートブランド「One&Only Resorts」がドバイに最初にオープンさせたラグジュアリーなリゾートが「ロイヤルミラージュ/Royal Mirage」だ。ここが砂漠だったとは思えないほど緑に溢れ、白い砂とエメラルドグリーンの海が広がる、1kmにも及ぶプライベートビーチを持つ。敷地内には荘厳な宮殿を感じさせる「ザ・パレス」、Small Leading Hotels of the Worldに加盟の優雅な「レジデンス&スパ」、そして随所にアラビアンテイストが溢れる「アラビアンコート」と、3つの個性溢れる宿泊施設から構成されここが、近未来的な大都市のすぐ近くにあるとはとても思えない、静なる空間。レストランやバーもそれぞれ違った趣向を凝らしているほか、スパには、トルコ式のスチームサウナ「ハマム」も用意される。アラブのカルチャーを肌で感じながら、海辺で優雅に過ごすことができる、ドバイきってのアラビアンリゾートだ。一泊一部屋の料金はUSD750(ザ・パレス/デラックス)から。
One&Only Resorts
oneandonlyresorts.com
ドバイきってのエレガントなリゾート – One&:Only The Palm (ワン&オンリー・ザ・パーム)
椰子の木をモチーフにした人工島パーム・ジュメイラは、世界のセレブリティが注目するドバイが誇る一大リゾート。その東端に昨年10月にオープンしたばかりのホテル&リゾートが「ワン&オンリー・ザ・パーム/One&Only The Palm」だ。ドバイのラグジュアリーリゾートとして高い評価を得ているロイヤルミラージュのほぼ対岸に位置し、専用のクルーザーで結ばれている。
アラビアの伝統的なモチーフやデザインを随所に取り入れながら、スーパーモダンに仕上げられたホテルの空間は、まさに非日常。エレガントなロビーからはプールそして海へと空間が広がり、とても清々しく気持ちがいい。ザ・パームは、35室のゆったりとした部屋を有するメイン棟のマナーハウス、ビーチに面したマンション、一棟貸しとなるヴィラの3タイプで構成され、さまざまなステイに対応する。どれも、伝統的なムーア様式を取り入れたモダンでエレガントな室内が特徴だ。
ホテル内には、カウンセリングルームやプライベートルームを備えた贅沢なスパや三ツ星シェフYannick Allenoのレストラン「STAY by Yannick Alleno」、パーム・ジュメイラやドバイの夜景を楽しめるハーバーサイドのバー「101」など、ロケーション、内容ともに上質で贅沢なひと時が過ごせるコンテンツを擁している。もちろん敷地内には美しいビーチが広がる。何もしないで過ごすことがとても心地よい、優雅なリゾートだ。一泊一部屋の料金USD950(マナーハウス/スーペリアデラックス)から。
One&Only Resorts
oneandonlyresorts.com