14年の沈黙を破って登場、ロータスが放つ大人のスポーツカー
イギリスの名門スポーツカーメーカー「ロータス」が、14 年ぶりに大排気量の新型モデルを投入した。LOTUSEVORA /ロータス・エヴォーラ。軽量な車体にミッドシップ・エンジンを搭載。ロータスの伝統的手法を生かした高いスポーツ性はそのままに、快適性そしてラグジュアリー性を高めた、ロータスのフラッグシップモデルだ。
取材・文/小倉 修 ・ 撮影/茂呂 幸正
軽量で軽快環境にも優しいブランド
空気抵抗低減と居住性確保のためにバブル形状のルーフを採用している。
ロータスはF1をはじめ、数々のモータースポーツシーンで活躍してきたイギリスの名門スポーツカーメーカーだ。スーパーカーブームで一世を風靡した「ロータス・ヨーロッパ」など、数々の名車も生み出してきた。軽量、エンジンをミッドシップ(=中央)に置くという、レースで培ったさまざまなコンセプトや技術を市販車にも活かし、小排気量でも大排気量車に負けない性能を持っていることが、ロータスの大きな特徴だ。近年では「エリーゼ」という軽量なスポーツモデルを中心に、よりスポーツ志向の強い「エキシージ」や「ヨーロッパS」というGTモデルが日本でも販売されている。いずれも4気筒エンジンで排気量も2リッター以下のエンジンを登載している。
ロータスの新しいフラッグシップモデル
上/グラマラスで抑揚感あふれるリアセクション。スポーツカーらしい迫力ある姿だ。
下/フロント18、リア19 インチを採用。10本スポークのアルミ鍛造ホイールはオプション(36 万円)。
そのロータスが14年ぶりに排気量の大きいモデルを投入した。それが「EVORA(エヴォーラ)」だ。ロータスの市販車は伝統的に「E」の文字からはじまる車名を常としており、「EVORA」はEVOLUTION、VOGUE、AURAの文字を組み合わせた造語である。
ロータスはスポーツ志向の強いスパルタンなモデルが多いが、「エヴォーラ」は現代のトップモデルに位置するべく、高いスポーツ性能に加えラグジュアリーな装備を取り入れたモデル。ロータスの流儀にのっとり、3・5リッターV6DOHC をミッドシップに搭載。エンジンはトヨタ製だが、マネジメントや排気システムをロータスがチューンし、206 kw(280ps)の最高出力を発揮。それに6速マニュアルトランスミッションが組み合わされ、最高速度は時速261㎞を誇る。車体はオールアルミモノコックにグラスファイバーボディを組み合わせたロータス独自のもの。そのエクステリアはダイナミックで、リアセクションやボディサイドは、スポーツカーらしいグラマラスな抑揚感を持たせている。
軽快な走りと心地よい快適性
上/上質なレザーとアルミパネルで構成されたモダンでラグジュアリーなコックピット。
下/非常に軽快でパワフルな3.5 リッターのトヨタ製V6はロータスによってチューンされている。
さて、ここで紹介するモデルは、ミニマムながら後部座席が設けられた2+2仕様だ。
現在、世界で唯一の4シーターミッドシップモデルである。全体的にたいへん端正でスタイリッシュ、そして嫌味のない洗練されたデザインに仕上げられている印象だ。車内は、太いサイドシルに着座位置の低いフルバケットシートなど、リアルなスポーツカーらしい景色が広がる。虚飾を省いたシンプルなコックピット回りだが、高いデザイン性と質感で、大変上質かつラグジュアリーな空間に仕上がっている。この車内空間はエヴォーラの大きな魅力の一つだ。外観もインテリアも華美すぎないところに、非常に好感が持てる。
ドライビングは、とても気持ちがいい。そして、実に乗り心地のよいクルマだ。今回は、東京から八ヶ岳まで、往復約425㎞を1日で走ったが、雨が降るあいにくの空模様。こうした状況下でも驚くほど快適なのだ。扱いやすい3・5リッターというトルクのあるエンジン、多少の路面の凹凸も非常によく吸収してくれるサスペンション、適度にホールドしてくれるレカロ製のレザーバケットシート、そして高い静粛性が、快適性に大きく貢献している。
ワインディングも本当に楽しい。パワフルなエンジンに、高いボディ剛性とキッチリとしたハンドリング、きちっと働くサスペンション、よく効くブレーキ……、すべてがスポーツカーたるための高いレベルを持っている。雨で多少の心配もあったが、トラクションコントロールのおかげで、安心して走ることができたことも加えておきたい。スポーツカーとしての走る、曲がる、止まるのレベルが相当に高い。それが、決してスパルタンではなく、ジェントルなところが、エヴォーラの魅力だ。
虚飾や華美に踊らされない、本当の上質を知る大人にこそ相応しい、ラグジュアリースポーツカーだ。
SPECIFICATIONS
全長:4342mm
全幅:1848mm
全高:1223mm
車両重量:1350kg
エンジン: V 型6気筒DOHC VVT-i
排気量:3456cc
最高出力::206kW(280ps)/6400rpms
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/4700rpm
サスペンション:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:F =4ポットキャリパー+ ベンチレーテッドディスク、
R =2ピストンキャリパー×ベンチレーテッドブレーキ
乗車定員:2/4名 CO2 EMISSIONS:225g/km
最高速度264km/h
価格:8,925,000 円(2+ 2モデル、消費税込)
環境に優しく乗りやすさも向上。
新型エリーゼが登場
ロータスの人気モデル「エリーゼ」の新型モデル(2011 年モデル) がこの秋にデリバリーされる。ハイライトはこれまで以上に環境に配慮し、ガソリンエンジンの高性能スポーツカーとしては世界最低水準のCo2 排出量を実現していること、また、これまでの1.8 リッターエンジンからバルブマチックとデュアルVVT-i を組み込んだ、新開発の1.6 リッターエンジン(136ps/16.3kg・m)が搭載される。一部ボディデザインの変更も受け、フロントクラムシェル、リアバンパー、エンジンカバーを一新。ライトもLED 式のデイタイムランニングライトと、ウィンカーが組み込まれた一体型ヘッドランプになった。環境をしっかり考えたスマートなスポーツカーだ。
ロータス・エリーゼ 5,100,000 円(税込)
ロータスコール 0120-371-222(受付時間9:00~21:00)