クレドール

CREDOR

急峻な山々から湧き出た水は勢いよく駆け下り、渓谷の中では時として「水暖簾(みずのれん)」と呼ばれる美しく広がった滝となる。本作は、「水暖簾」をデザインテーマに、日本の代表的な磁器である伊万里鍋島焼の名門「畑萬陶苑」とのコラボレーションにより完成。広がった滝の流れを表現するため、鍋島焼の伝統的手法「墨はじき」を用いて、ダイヤルの生地にグラデーションのかかった精緻なストライプ模様を描く。そこに透明な釉薬を重ね焼成を施した後、職人の手で11か所の略字を立体的に描いている。さらに滝の水煙を表現する、金、プラチナ、パールホワイト、光彩の4色を順に上絵付し、それぞれの色に合った温度で焼きつける。このため、ダイヤルが完成するまでには10回以上の焼成を繰り返す。また、高級機械式時計にふさわしく、プラチナ製のケースには、厚さわずか1.98mmの薄さゆえに、ひとつひとつの部品の形状補正や調整に100分の1mm単位の精度が求められ、熟練した時計師でも一日にわずか1個から2個しか組み立てられない、少量生産の極薄手巻ムーブメント「キャリバー 6890」を搭載している。さらに裏ぶたには、畑萬陶苑が手がけた証として屋号が刻印されている。