ザ・ラルー ~”太陽と月の湖”で過ごす、静寂のひととき
アジア圏にリゾートを展開するホテルグループならではのプライベート感のあるしつらえ、窓全面に見える日月潭、すべてが非日常感を演出してくれる。
日月潭の中央に浮かぶ拉魯島の姿を臨む絶好のレイクビュー。
夜の湖に浮かぶ明かりを眺めながら絶品の中国料理を。蒋介石が好んだという日月潭名物の総統魚もぜひ味わいたい。
台湾最大の湖で、有数の景勝地・日月潭の中央に浮かぶ拉魯島を一望する高台に保養所として建てられた「涵碧樓」。日本統治時代に日本人が建てたものであるが、かつてダム建設や先住民族の居住地であることから観光名所として、特に高官たちに人気を集めていた高級保養地であった。中華民国の統治時代に入ると、この場所をこよなく愛していた初代総統・蒋介石は、涵碧樓を自身の別荘とすることにした。それが現在、台湾最高級ホテルとして知られる「ザ・ラルー」の前身である。2003年オープン以来、高級保養地としてのDNAを引き継ぎながら、モダンシックに装いを変え、現代的なリゾートとして人気を博している。 台北からおよそ240㎞、3時間の道のりはけして短いものではないが、それでもなお、繰り返し訪ねたくなる不思議な吸引力を持っているのがこのホテルだ。
全96室、ヴィラタイプ含めすべてスイートルーム。広いバルコニーやテラスからは、夕暮れや朝焼け、晴れ渡った空が映り込む湖面、雨に煙り、霧に霞む幽玄な日月潭の景色を思う存分楽しめる。
インナーバルコニーになっているので人目を気にすることなく景色が楽しめるよう工夫がなされている。プライベート感の演出はパブリックスペースまで徹底されている。フロントから客室への動線を工夫し、間仕切りなどで視界をうまく遮ることで、人の気配を感じることが少なく移動できるようになっている。プールに隣接した東屋風のティーハウスや、湖を眺めながらトリートメントを受けられるスパなども同様に、プライベート感が保たれ、非日常リゾートを満喫できる。この空間を手がけたのが、アマンリゾーツの代表的建築家であるケリー・ヒルと聞けばそれも納得がいく。
究極の隠れ家ステイをいっそう心地よくしてくれるのがスタッフのサービスだ。洗練されながら、きめ細やかさの中に、慎ましさと初々しさを併せ持ったホスピタリティは、どこか懐かしく、旅の情緒をかきたててくれる。
「麗しの島」を全身で体感するホリスティックリゾート。数日をかけてじっくりと楽しみたい。また今後、ザ・ラルー ホテルズ&リゾーツグループは中国を皮切りに、世界に展開していく。麗しの島のもてなしを、他国で味わえる日もそう遠くない。
建築は、アマンリゾーツ設立にも携わったケリー・ヒルが手がける。
水墨画のような幽玄の表情を見せる、雨や霧の湖もまた風情あふれる。
香り高き台湾茶の世界へようこそ
男性にも好まれるプーアル茶も自家焙煎。えぐみが少なく滋味あふれる。
表通りが金融街とは思えない、静かな佇まい。
オーナーの黄氏。支店やレストランを経営し、茶の教室も経営する傍ら、早朝から毎日茶葉の焙煎を行っているという。
金融街の裏手通りにある、古めかしい民家のテラスで、湯気を立てる茶器の傍らこの「竹里館」の主人・黄浩然氏は迎えてくれた。ここでは、表通りとまるで違う時間が流れている。
「台湾茶は、かつてその味でもてはやされたものの、競争力が落ち、一時は衰退していました。しかし台湾の生活水準が上がると『生活のゆとり』を表すものとして徐々に消費が回復し、「功夫茶」の作法も生まれました。お茶は、花をいけたり香をたてながら、ゆっくり時間をかけて香りや味わいを楽しむもの。功夫茶は工夫茶とも称され『じっくり、ていねい』にという意味を持っています」。
そう言いながら黄氏は茶葉に湯を注ぐ。それから数秒。凍頂烏龍茶の優雅な香りが立ち上る。まだ透明に近いその茶を口に含むと、淹れて数秒と思えない香りと深い甘味を舌に感じる。そういう間に2杯目を茶器に注ぐ黄氏。次は十数秒待って注がれたその茶を飲むと、先ほどの香りと甘味に開いた茶葉から滲み出た渋みがブレンドされ、複雑な味わいに。「茶の良し悪しを決めるのは『色』『香』『味』『韻』。最も特長的なのが『韻』つまり喉を通った後、鼻腔に戻ってくる香りです」と、黄氏は3杯目の茶を注ぐ。温かい茶が喉を通ると、体内で温められた香気がじんわりと鼻腔に戻る。「4つの要素が変化していくのを、ゆっくり楽しむのも功夫茶の特長です。1杯目で香り、2杯目で開いた茶葉の香りや甘味、渋み、3杯目からは韻を楽しみます」。中国茶との大きな違いはここだと黄氏は続ける。質のいい高級茶葉を自家焙煎したというこの茶は、6杯から8杯目まで豊かな韻が続く。
アタックから空気に触れて開き余韻が続くことからワインとも比較されるが、その性質だけでなく、ゆとりのある人が楽しむ点でも似ているのではないか。台湾茶を楽しむことは、暮らしの豊かさだけでなく、心の豊かさも象徴するものなのだ。
信仰を超えて広がる、台湾の精進料理・素食の魅力
和食的な趣きもある梅門食堂のメニュー。漢方を使った薬膳が薬味の役割を果たし、味にコクと変化を与えていて飽きがこない。
トマト麺。オリジナルの乾燥麺も製造しており、国外からも買い付けに来る人がいるほど人気という。
「素食」は、「小吃(一品料理)」「..(宴会料理)」と並び台湾3大食文化の1つであり、世界的に知られるベジタリアン食だ。宗教的理由の一方で、昨今では健康のために実践する人も少なくない。素食レストランも街のそこかしこにあり、いつも大賑わいだ。
その中で、台北市にある気功総合センター「梅門徳藝天地」に付属する梅門食堂は、門下生だけでなく、現地のベジタリアンや外国からの観光客も通う有名店だ。
マネージャーの蔡氏が迎えてくれた。ハリツヤのある肌で凛と背筋の伸びた、美しい女性だ。「私たちの素食で特長的なのは『色』『香』『味』に加え『化』『養』5つの要素です。健康を保つため、いかに消化にいいものを摂るかを重視します。青、赤、黄、白、黒の『色』、酢、苦、甘、辛、塩の5つの『味』のバランスが消化にいいと考えています」そう説明しながら供してくれたメニューを見て菜食のイメージが覆される。豊かな彩りといいバラエティーの豊富さと言い、すべて植物性とは思えないリッチな内容だ。台湾素食の特長は、菜食にありがちな物足りなさを感じさせない工夫にある。湯葉などの豆腐食材、麩、蒟蒻などを用いて肉や魚の食感を再現し、漢方や調味料、薬味の香りでしっかり空腹感を満たしてくれる。「消化を第一に考え、火加減は『細火・慢.』でじっくりと煮込み、水と火の『気』のバランスを取りながら素材の甘味を引き出します」と蔡氏の言うように、食材の出汁がきちんと舌で感じられる。素朴で滋味にあふれ、日本料理に通じる機微に富んでいる。本当にいい素食は1時間も経たないうちに身体の変化を感じることができるのだという。だまされた気持ちで、この梅門食堂の素食を味わってみてはいかがだろうか。
エグゼクティブが定宿にする5つ星の” 我が家” アンバサダーホテル台北
アンバサダーホテル台北の位置する中山北路は、台湾を南北に貫くメインストリートで銀行、企業オフィスビルが立ち並ぶビジネス街。レストランや喫茶店なども数多い活気あるエリアだ。
エグゼクティブ デラックス ルームは、モダンなアース系のトープ色とオレンジを基調にしたラグジュアリーな内装になっている。また書斎や本棚を備え、エグゼクティブにとってのコンフォートを追求したインテリアにしつらえられている。
台湾を訪れるエグゼクティブが定宿とするラグジュアリーホテルチェーンの中でも、台北、新竹、高雄3つのプロパティーすべてが5つ星に格付けされる「アンバサダーホテル」。
その第1号のアンバサダーホテル台北は、2014年に50周年を迎える老舗で、台北を代表するラグジュアリーホテルの1つ。エグゼクティブ、要人たちの定宿として古くから親しまれ、日本の元首相もこのホテルに滞在している。
台北の中正紀念堂にほど近い金融街の中心・中山北路に位置し、美しい街路樹が並ぶ目抜き通りを入ればショッピングにも、飲食にも利便性の高い立地。モダンな界隈ではあるが、裏通りには台湾らしい民家も並び、新旧どちらの台湾も味わえる地域でもある。
ホテルは、エグゼクティブにとってのコンフォタビリティが追求されていて、客室には最新のビジネス設備を完備。デスク周りには十分なプラグが1ヵ所に備えつけられているほか、引き出しは小分け収納に、またアップル社製品が充電・出力できるクレードル付きのオーディオを備えるなど、現代のビジネスパーソンたちにうれしい気遣いがそこかしこに見られる。もちろんパブリックスペースにはMICEに対応したバンケットルームや会議室も備えて、ビジネスセンターも充実している。
さらにエグゼクティブクラスのあるフロアはラウンジを備え、軽食や酒類が準備されており、好きな時間に思い思いにくつろげるほか、朝は朝食がとれるダイニングになっているので、ダイニングまで降りる時間のロスも少ない。また入口にはコンシェルジュがいて、さまざまな用件にも応じてくれる。
ホテルレストランは、四川・広東料理店、「Aカットステーキハウス」など本格料理が味わえるほか、有機食材を使ったメニュー「Aqua ラウンジ」、多国籍西洋料理の「明園西洋料理レストラン」、軽食のとれる「ahmicafé」、ブーランジュリー&パティスリー「lebouquet」など充実。
日本語のできるスタッフもおり、急な用件や万が一のトラブルなども安心して相談できる。使い込めば込むほどに、その使い勝手の良さとスタッフのホスピタリティの高さとで定宿にしたくなるのも納得がいくはずだ。