進化するメトロマニラ
日本からのフライトでおよそ4時間。これまで何となくネガティブな先入観に支配され、東南アジアの国々の中にあっても、近くて遠い国だったフィリピン。喧騒のなか、ジプニーが排気ガスをあげながら走る姿は目にするが、それは多様な顔を見せるフィリピンの一つの側面に過ぎない。現在のフィリピン、特にマニラ首都圏は、目を見張るほどの発展を遂げ、そこで人々は洗練されたメトロポリタンライフを満喫している。
サンチャゴ要塞
「壁に囲まれた街」という意味のイントラムロスは、スペイン統治時代の16世紀、スペイン人初代総督がフィリピン統治の本拠地とした城塞跡。この北西の一番端に位置するサンチャゴ要塞は、城壁都市の中で戦略上、最も重要な場所とされた。フィリピン独立運動の英雄ホセ・リサールの遺品や業績を紹介する記念館も建つ。
マニラ大聖堂
スペイン統治時代の1571年に創建されたカトリック教会の大聖堂で、現在のネオロマネスク様式の聖堂は1958年に再建された8代目となる。4500本のパイプを持つパイプオルガンはアジア最大級のものとしても知られる。なおフィリピンはASEAN唯一のキリスト教国であり、国民の約83%がカトリック教徒となっている。
セントトーマス大学
1611年に設置されたフィリピンを代表する私立大学。現存する大学の中ではアジアで最古となる。フィリピンでは教育が盛んで教育水準も高く、高等教育機関の総数はアメリカに次ぐ多さとなっている。なお、フィリピンでは英語を公用語とするため、フィリピンに留学して英語を学ぶ日本人も多くみられる。
マニラヨットクラブ
マニラ湾の南の端にあるマニラヨットクラブ。ヨットを所有することはフィリピン富裕層にとってステイタスとされ、係留されるヨットの数からも現在のフィリピンの発展ぶりがうかがえる。格式も高く、常にクラブに相応しい行動が求められる。
様々な表情を持つ親日国家フィリピン
ニノイ・アキノ国際空港に到着し、ターミナルの外に出ると、街は躍動していた。抜けるような青い空の下で、高架式の高速道路の建設が進み、ホテルやカジノの建設ラッシュと相まって、至る所に人と物が行き交っている。乗客を詰め込んだジプニー(小型乗合バス)に交じって、ピカピカの高級車が渋滞の渦に巻き込まれ、響き渡るクラクションの音とともにどこかへ消えていく。マニラに到着して30分も経過していないだろう。さっそく目の当たりにした光景に、経済成長著しいフィリピンの勢いを感じずにはいられなかった。
一口にフィリピンと言っても、大小7109の島々から構成されるため、文化や風土、人々の暮らしぶりもそれぞれに異なる。切り取り方によって千差万別、多様な顔が垣間見られるわけだ。セブ島やボラカイ島は世界有数のビーチリゾートとして知られ、南部のミンダナオ島では昔ながらの素朴な生活が営まれている。人が住まずに名前すらない島々が存在する一方、マニラ首都圏には近代的な高層ビルが林立し、東京のそれと変わらない、あるいは、それ以上に洗練された暮らしが営まれている。ただ、どこにいても共通しているのが、人々は皆笑顔をたたえているということ。しかも私達日本人に対して、親しみを持って接してくれるから、心が自然と温かな気持ちになってくる。
フィリピンは日本との親密的な国家関係もあり、アジアでも有数の親日国家として知られている。アジア10ヶ国を対象に18歳以上の男女100人に対して行われた親日度調査(2014年)では、90%が「大好き」「好き」と回答するなど、多くの国民が友好的な感情を持つという結果も出ている。とは言え第二次世界大戦中に日本がフィリピン国民に対して行った侵略の歴史は消す去ることはできない事実。そんな過去があったことを反省し、これからも両国民が良好な関係を維持できるよう、努力していく必要があることを決して忘れてはならない。
セブ島の美しい海。
街を走り抜けるジプニー。昔から変わらぬ風景である。
ますます期待されるフィリピンの経済成長
ニノイ・アキノ国際空港近くにあるカジノ複合リゾート「RESORT WORLD MANILA」。3つのホテルのほか、カジノ、モール、劇場から構成。2年後にはさらに3つのホテルが加わる予定だ。
フィリピンの経済は好調である。実質GDP成長率を見ると、2010年に7.6 % と高い水準を記録した後、世界経済の低迷の影響を受けて2011年は3.6 %とやや鈍化したものの、2012年に6.8 %、2013年は7.2 %を記録。他のASEAN各国と比較しても高い伸びを記録しているのが現状だ。
フィリピンでは海外出稼ぎ労働者による送金総額が、2013年には約230億ドルと過去最高を記録し、彼らによる送金はフィリピン経済を支える重要な要素になっている。ちなみに、その数は全人口の1割に当たる約1046万人と言うから驚かされる。ただ、海外出稼ぎ労働者による送金に限らず、外貨の獲得は他の手段でも試みがなされている。観光もその一つだ。
もともとフィリピンでは美しい大自然という観光資源を有しながらも、観光客数が伸び悩んでいたという。そこで目を付けたのが、カジノを呼び水として観光客を呼び込む計画である。観光業を活性化することで雇用の創出を図り、国の経済成長に繋げようとしたのだ。
国家プロジェクトとしてカジノリゾートの開発はすでに進行中で、マニラ湾沿岸の埋め立て地域に世界最大級のカジノ複合リゾートの建設が始まっている。国営フィリピン娯楽ゲーム公社(PAGCOR)によると、総面積は約120万㎡に及び、建設中の施設がすべて開業すれば、年間100億ドルのカジノ収入が入ると試算。一方、地元紙では、スイス金融大手クレディ・スイスがフィリピンのカジノ産業の市場規模は2018年までに56億ドルを超えると試算していると報じられ、この数字はシンガポールを超えるものとされている。
ところで、数字上だけでなく、実際にフィリピンの成長を体感したいなら、まずはマカティ市に足を運んでみるのがいい。フィリピンの首都マニラは17の行政区からなり、これらの地域を総称してマニラ首都圏(メトロマニラ)と呼んでいる。マカティ市もその一つで、フィリピン最大の財閥の一つ、アヤラ一族が開発を手掛けたフィリピン経済の発展を象徴するエリアとなっている。
空を見上げれば、陽光に煌めく近代的な高層ビルが連なり、外資系企業や金融機関に勤めるビジネスパーソンたちが街を颯爽と闊歩する。まさに「フィリピンのウォール街」との例えがしっくりとくる様相である。 同時にビジネスの中心としての側面を持ちながら、市の中心にはグリーンベルトやグロリエッタといった巨大な高級ショッピングモールが立ち並び、一大ショッピングエリアとしての顔ものぞかせる。2016年には米国の不動産王、ドナルド・トランプによる高級アパートメントが完成する予定というから、成長し続けるフィリピンの今に出会うにはうってつけなのである。
マニラ湾沿岸の埋め立て地に建設されたカジノ複合リゾート「SOLAIRERESORT & CASINO・MANILA」。
マカティ市の中心、アヤラセンター内にあるショッピングモール「グリーンベルト」。高級ホテルなどとともに巨大ツーリストゾーンを形成している。
フィリピン富裕層の暮らし
都会のオアシスでポロ競技に情熱を注ぐ Mr. Butch Albert(ブッチ・アルバートさん)
日本では登録競技人口がわずか3人だけと言われるポロ。英国で近代化された優雅な紳士淑女のスポーツは、マニラでもハイソサエティのスポーツとして人気を集めている。慈善活動家のブッチ・アルバート氏も、由緒正しいマニラポロクラブで、汗を流す一人だ。
マカティの高層ビル群と緑のコントラストが美しいマニラポロクラブ。
世界的に見ても都会の真ん中にポロのグラウンドがあるのはマニラだけだ。
マニラ首都圏の中でも超高級邸宅街として名を馳せるフォルベスパーク。木漏れ日が眩しいマッキンリーロード沿いに瀟洒な豪邸が居を構えるなか、ひと際重厚なゲートに囲まれたエリアがある。ゲートを抜け暫く進んだ先に広がるのは青々とした芝生を湛えた広大なグラウンド。陽光を受けて輝くマカティの高層ビル群を背景に、グラウンドでは鍛え磨かれた馬が駆け回り、馬が芝を蹴る音とマレットで球を打つ高い音が響き渡っていた。
ここマニラポロクラブはフィリピン国内の政財界の要人がメンバーに名を連ねる会員制のクラブだ。日本ではあまり馴染みがないが、ペルシアを起源に英国で近代化された騎乗球技ポロの愛好者たちが集う。クラブの設立は1907年。長い歴史を有しフィリピンでもっとも格式高いとクラブ言われている。
ブッチ・アルバートさんもここのメンバーの一人。「私はセミリタイアしたビジネスパーソンなのですよ」とおどけてみせるが、イタリアのスポーツブランドFILAの店舗をフィリピン国内で展開するアイスポーツライフ社の会長を務める実業家だ。週末になると家族でクラブに訪れ、娘はバドミントン、息子はゴルフ、そしてご本人はポロと、それぞれが思い思いの時を過ごす。
優雅な印象のあるスポーツだが、ポロは数百年も前、戦場での戦いに耐えうる強靱な体に馬を鍛えることを起源としたため、実際はとてもハード。「私は56歳でポロを始めたので実力はまだまだ。上達するためには多くの時間を馬の上で過ごさないといけない。でもそのためには常に私も体を鍛える必要があるんです」とブッチ氏。そのためか現在65歳とは思えないがっちりとした体型を維持されている。相棒となる馬へのケアにも細心の注意を払い、所有する8頭の馬はシーズオフになるとカラタガンにある牧場でゆったりとさせるそうだ。
ポロに熱中するかたわら、「セミリタイアと言ったのは、私の時間の半分は慈善活動に捧げているから」と、困った人達へのサポートにも積極的に取り組んでいる。「自然災害で被害を受けた方や貧しい方の暮らしが少しで改善されれば」と、ブッチ氏を慈善活動に突き動かす理由はいたってシンプル。そんな真っ直ぐな思いで、台風で壊滅的な被害を受けた地域に住居やボートを提供したり、さらには災害に対するトラウマ改善のカウンセリングを実施するなど、精神面のケアにまで心を配る。2014年にはフォーブスマガジンにおいて、アジアの卓越した慈善活動家トップ48の中の一人に選ばれるなど、ブッチ氏の取り組みは世界的にも高く評価されているのだ。
ドル フィリピンのポロの世界にはパトロンが存在し、その普及にために労を惜しまず陰で尽力しているという。フィリピンを陰で支えるブッチ氏の慈善活動家としての顔はポロのパトロンと重なってみえる。
Mr. Butch Albert
アイスポーツライフ社の会長を務めるかたわら、慈善活動家として自然災害で被害を受けた人や貧しい人のチャリティ活動に取り組む。その活動が評価され、2014年6月のアジア版フォーブス誌において、「Top 48 of Notable Philanthropist in Asia for the year 2014」の一人に選ばれる。
牧師として宣教活動にも力を入れる。
Manila Polo Club
創立1907年の歴史を誇るポロを中心とした会員制クラブ。元々はパサイ市にあったが戦時中に焼き払われたため、1950年代に現在のフォルベスパークに移転する。広大な敷地にはあらゆるスポーツ施設が備わる。会員になるには供託金1400万ペソのほか、スポンサーとしてメンバー2人からの推薦が必要で、面接ののちにメンバーシップ委員会で諮られた後、晴れて会員になれる。
マニラの最新注目物件 ~外国からの投資の対象になる高品質な高級コンドミニアム~
GRAND HYATT MANILA RESIDENCES ~ホテルライクな暮らしの舞台~
ディベロッパーとして40年以上のキャリアを持つフェデラルランド社が、オリックス株式会社との合弁会社を立ち上げて進めているプロジェクト。世界的に有名なグランド ハイアット ホテルに付帯するレジデンスということもあり、5つ星水準のホテルライクなラグジュアリーな体験を日常生活で約束する。居住者はプールやスパといったホテルのファシリティのほか、コンシェルジュやポーターサービスといったサービスを享受。また、購入者にはハイアットグループの会員資格「ハイアット ゴールド パスポート」の最上級ステータスである「ダイヤモンド」が2年間付与され、年4回のスイートルームへのアップグレードといった嬉しい特典も多々受けられる。なお、レジデンスが完成する予定のボニファシオ・グローバルシティは、欧米系の駐在員家族や地元の富裕層をターゲットに開発され、近年もっとも注目を集めている新都心開発地区となっている。
開放感あふれるリビングルーム。
シーンによって様々な表情をみせるインテリア。上質な暮らしを演出する。
Grand Hyatt Manila Residences
[ディベロッパー]Bonifacio Landmark Realty and Development Corporation
[住所]8th Ave., corner 36th St., Veritown Fort, Bonifacio Global City
[総戸数]239戸(50階建て)
[完成予定]2016年
[価格]5,700万円~2億4,400万円
TWO ROXAS TRIANGLE ~羨望の地に佇む洗練の邸宅~
ツーロハス トライアングルは、マカティにおける最上級物件と期待される物件。オーナーはフィリピン最大の財閥グループであるアヤラグループのアヤラランド社と香港不動産開発大手ホンコンランド社のコラボレーションによる企業で、2011年には先行してワンロハス トライアングルを開発している。このワンロハス トライアングルはフィリピンの著名芸能人や政治家が住まいとしている高級物件として知られ、徒歩圏内には緑潤うトライアングルガーデンや目の前にはインターナショナル幼稚園もあり、日本人を始め外資系企業勤務の駐在員も多く住んでいる。ユニットプランでは、豪華なアイランド式キッチンや冷蔵庫、電子レンジやオーブン、乾燥機や洗濯機などが備わり、1つのユニットに対して3~4つのパーキングが付く。なおアヤラ社は隣接するマンダリン オリエンタル ホテルを買収し、周辺一帯のさらなる開発を予定している
敷地中に広がるプールエリア。リゾートホテルのような雰囲気でもある。
ペントハウスもある。
Two Roxas Triangle
[ディベロッパー]Roxas Land Corporation( Ayala Land)
[住所]Cruzada St., Makati
[総戸数]182戸(52階建て)
[完成予定]2019年
[価格]1億2,400万円~
GARDEN TOWERS, TOWER 2 ~潤う緑に癒される安らぎの邸~
9000㎡を超える広い敷地に、聳え立つ2棟の高層コンドミニアム。ディベロッパーであるアヤラランド社は、フィリピン最大の財閥アヤラグループの不動産開発会社で、同社が開発する不動産は現地でも信頼性が非常に高く、確固たるブランドを築き上げている。レジデンスはマカティの中心部アヤラセンターにありながら、緑との触れ合いをコンセプトにしており、都会の洗練と自然との調和を享受できるのが特徴となっている。巨大ショッピングモールであるグロリエッタや高級ショッピングモールとして知られるグリーンベルトへも至近で、映画館やレストラン、カフェなども周辺に多くあり、生活に最適なロケーションも魅力。さらにラッフルズやペニンシュラなど5つ星ホテルが目白押しで高級感も溢れるエリアとなるため、高級コンドミニアムの賃貸需要も高く、貸し出しやすくなっている。
豊かな緑が広がり、まさに都会の中のオアシスのよう。
生活の利便性の良さが魅力。緑に包まれた癒しの暮らしの舞台は贅も極める。
Garden Towers Tower2
[ディベロッパー]Ayala Land Premier
[住所]A Arnaiz Ave., Makati
[総戸数]334戸(57階建て)
[完成予定]2020年
[価格]2,785万円~4億円
ハロハロアライアンス