ランナー王国の佇まいを遺す古都チェンマイ
旅の始まりはバンコクから飛行機で北へ1時間、古都チェンマイ。かつて独自の文字や文化を育み発展してきたランナー王朝が栄えた地である。「ランナー」とは「百万の稲田」を意味する。その名の通り11世紀後半の遷都以来、肥沃な土壌と恵まれた水を活かし稲作によって潤い、その富によって周辺地域や隣国からも人や物が行き交う要衝の地となった。優れた工芸・美術品も集まり、銀細工や漆器、木彫、機織などの職人たちがこの地に住まい卓越した文化を形成していく。
時を経てビルマ配下の時代にあってもランナー文化は途絶えることなく、脈々と受け継がれていった。1774年にカヴィラ王国がビルマからふたたびランナーの地を取り戻し1884年にサヤーム王国の一部となって現在に至るが、24万2千㎡(7万3千坪)に及ぶ広大な古の城塞都市には、今も至る場所に歴史の足跡が残されている。
ランナー王朝文化を現代に伝える佇まいの祠。
住民が伝統工芸のデモンストレーションを見せてくれる。
日本の折り鶴にも似た、編み込みの民芸品。
古のタイと現代が出会うリゾート「ダラデヴィ」
水牛がのんびり草を食み、小川がせせらぎ、稲の香が漂う田園。張り巡らされた石畳の道を歩いていると畑仕事に向かう農夫が手を休めて微笑みながら挨拶してくれる。そんな原風景の広がる水田地域にひっそりと佇む「ダラデヴィ」。
ランナー王国の歴史を受け継ぐ古い建造物を中心に現代的なくつろぎを提供するリゾートとして生まれ変わった場所だ。かつての城塞都市を忠実に再現し、さながら古のタイに暮らすようなタイムスリップを味わうことができる。
敷地には木橋や警備のやぐら、楼閣などが遺され古の文化を現代に伝える役割を果たす。また移築したり新たに作られた高床式の蔵や古民家、寺院や仏像が見事に融合している。ただ古いものを保存するだけでなく、職人を育て、文化を継承するという意味も込められているのであろう。古民家の一角では、高年の女性たちが籠細工や機織りなどのランナー文化の伝統工芸の様子を見せてくれる。ゲストのためにリゾート周辺から住民を招いて実際に作業してもらっているという。
「伝統を歴史の遺産として飾っておくのではなく、優れた技術や美意識を現代に継承していきたい」というオーナーの強い意志がダラデヴィに滞在することによって伝わってきた。
伝統と革新を探求する旅はチェンマイに始まり、プーケットそしてバンコクへと続く。
リゾートのメインロビーはランナー王国の佇まいを見事に再現されている。
豊かな水田が広がる土地の一角にダラ・デビは門を構える。
ヴィラの窓からは青々とした木々に包まれた大自然を味わうことができる。
DHARA DHEVI CHIANG MAI
51/4 Chiang Mai-Sankampaeng Road, Moo 1,T. Tasala, A. Muang, Chiang Mai 50000
TEL +66 53 888 888
世界最大の独立系ホテルブランド、プリファード・ホテルズ&リゾーツのレジェンド・コレクションに加盟。内容豊富なゲストロイヤリティプログラムのiPrefer(アイ・プリファー)の特典も利用可能。
プライベート感あふれる極上のプーケットステイ「トリサラ」
アンダマン海に面したダイニングエリア。巨大な椰子の木がそびえプライベート感を演出する。
タイらしいリゾート感にあふれるしつらいのゲストルーム。
高原の気候が清々しかったチェンマイとは打って変り、空港を降りた途端、高温多湿のまとわりつくような気だるい暑さに見舞われる。しかしその空気は不思議と心地悪くなく、むしろ開放感さえ催す、艶やかな色気を持っている。
そんなプーケットをより味わい深くしてくれる極上のプライベートリゾート。それが「トリサラ」だ。
空港からわずか車で15分。水着のまま歩く人々に紛れながら青々と茂る熱帯植物の森を潜り抜けいくと、その先に、海に向かってプールヴィラやレジデンスの点在する広大なリゾートが広がる。しかも背後には高い山がせり上がり、ビーチの両端は岩場で遮られた天然のプライベート空間である。
レセプションエリアを頂点にアンダマン海に向かって広がる16万2千㎡(4万9千坪)という広大な敷地には、海に近いレストランやバー、プールなどのパブリックスペースのほか、周りから隔絶されたビーチは、海水浴だけでなくシーカヤックやスピードボートでいつでも海へ出かけられる。
客室はすべてオーシャンビューでプライベートプールを備えたヴィラ。専任のバトラーが付き、カートで敷地内をエスコートしてくれるほか、24時間のルームサービスが可能。完全にプライバシー保ったステイもできるよう配慮されている。海辺に面したテラスで、オリジナルのブラッディ・マリーや、シャンパーニュで杯を交わす極上のひととき。週末には周辺の駐在外国人などが訪れ社交場となるテラス、そして都会生活の疲れをほぐし極上のリラクゼーションを味わわせてくれるスパ。ここではドレスコードや堅苦しい気遣いは不要だ。プライベートレジデンスのように、縛られるものなく自由に過ごすのが正しいのだ。目を見張る豪華な建物や装飾、過度なサービス等は一切排除しながらも、ゲストの求める最高の休日を提供するためのことには妥協がない。それもそのはず、トリサラの開業オーナーは、世界的なアジアンスタイルのリゾートホテル「アマン」の初代GMだったアンソニー・ラーク氏なのである。彼がアマンでやり残したことを、これ以上ない理想の場所で革新的に表現したラグジュアリー・リゾートが「トリサラ」なのだ。
レセプションエリアの背後にはリゾートを見守るように山がそびえる。
週末のトリサラ・ブランチは周辺の駐在外国人の間でも人気。週末のテラスは優雅な休日の午後を過ごす人であふれる社交場に様変わりする。ロブスターやオイスター、ジャイアントプラウンなど新鮮なシーフードが名物。
スパでは、贅沢にも3人のエステティシャンが同時に施術をしてくれる「ロイヤル トリサラ6ハンズマッサージ」のほか、アーユルヴェーダとロミロミを組み合わせたオリジナルパッケージも充実。
TRISARA
60/1 Moo 6, Srisoonthorn Road,Cherngtalay, Thalang, Phuket 83110
TEL +66 76 310 100
バンコクの喧騒から切り取られた都会の隠れ家リゾート「ザ・サイアム」
巨大なストレリチアが並ぶアトリウム。昼も圧倒的ながらライトアップされる夜はまた違う表情で非日常へと誘う。
ホテルの設計を手がけたのは、世界的に有名な建築家ビル・ベンスレー氏。
露店がひしめき、人々が絶え間なく行き来するバンコク中心街の喧噪から一歩離れたチャオプラヤ川沿い。その賑わいにほど近いとは信じがたい、都会の隠れ家ホテルがある。
バンコク市内の宿泊といえば、外資系の大型ホテルやシティタイプが多い。しかし「ザ・サイアム」は39室という小規模ホテル。まさにプライベート感漂うアーバンリゾートだ。
チャオプラヤ川に面し、専用の船着場とボートを有しているため、市内の交通渋滞を回避してアクセスできるこれ以上ない最高の演出。白亜の壁に黒いサッシが印象的な、アールデコ調のコロニアルスタイルのファサードに迎えられエントランスを入ると、ラウンジ・スペースやアンティーク・ブティックを備えたカフェなどヨーロッパの美術館のようなクラシカルな空間が広がる。
奥に進むと、巨大なストレリチアが生い茂り、3階建ての吹き抜けのホテルの屋根を突き破るかというほどの躍動感にあふれるアトリウムに思わず息を呑む。この「緑に覆われたタイ・コロニアル・スタイル」が「ザ・サイアム」のコンセプトでもある。
パリのデザインホテルのような色気を漂わせるゲストルームは、天井高のベットルームにキングサイズのベッド、タイル敷きのバスルーム。ゆったりとした両面のパウダースペースに足付きのバスタブ、アンティークなレインシャワーなど機能性とデザイン性とが見事に共存している。アンティークの家具や調度品がアクセントになり、モダン・コロニアル・アールデコスタイルが融合した心地よい空間にしつらえられているのだ。
その「革新的」な空間演出、伝統スタイルに機能性を融合させた居住空間は、古い街と巨大なビルの混在するバンコクの姿を見事に描きだしたものといえよう。
このホテルに滞在していると、ショッピングや混雑した観光名所を訪れるといった定番のアクティビティは不要になってしまう。朝はゆったりとバスタイムで目を覚まし、オーガニックジュースで胃袋を起こし、リバーサイドのプールで日光浴。
暑さに疲れた身体を心身ともにスパでリフレッシュしてもいい。ムエタイのリングまで備えた本格的なジムでパーソナルトレーニングを受けてもいいだろう。さらにシェフとトゥクトゥクに乗って市場で食材を調達、ホテルの専用コテージで調理、という本格的なパーソナル・クッキングクラスも用意されているのだ。
ザ・サイアムは誰にも邪魔されない自分だけの非日常を約束してくれる。
アールデコ調の、白亜の壁に映える美術館のような佇まいのAVルーム。
専用の船着場からチャオプラヤ川へ。夕暮れ時によく冷えた白ワインを飲みながらのサンセットクルーズ
ピアフのラヴィ・アン・ローズが生演奏で流れるムーディーなバーで、特製カクテルを。
THE SIAM
3/2 Thanon Khao,Vachirapayabal,Dusit, Bangkok 10300
TEL +66 22 06 6999
世界最大の独立系ホテルブランド、プリファード・ホテルズ&リゾーツのレジェンド・コレクションに加盟。内容豊富なゲストロイヤリティプログラムのiPrefer(アイ・プリファー)の特典も利用可能。