WINTER in TORONTO
芸術と文化に抱かれてウィンターライフを極める旅

カナダを代表する文化都市トロントは、冬の訪れを合図にさらなる魅力を増す。粉雪舞う白く美しい街を暮らすように旅して、優雅なひと時を過ごしてみるのはいかがだろうか。

写真・文/大橋マサヒロ

 

Art & Culture 厳冬の地で心の贅沢を知る

無数の銀色のボールと鏡を使った草間彌生による作品。その世界観に訪れる者は癒しと感動を覚えることだろう。

 

地元の人々を魅了する芸術施設

寒い時期のトロントを訪ねたら、通称AGOと呼ばれる「アートギャラリー・オブ・オンタリオ」に足を運ぶのがいい。世界的に有名な日本人アーティスト、草間彌生の特別展「INFINITY MIRRORED ROOM – LET’S SURVIVE FOREVER」が開催中で、全面鏡張りの室内に無数のミラーボールが飾られ、草間彌生ならではの世界観を堪能しようと連日訪れる人が絶えない。

他にも新人アーティストによる企画展やカナダの自然をテーマにしたモダンアート、さらにはモネやピカソなど巨匠の作品ま で幅広く公開されるなど見どころが満載。座り心地の良いソファに身をゆだねながら、ゆったりと芸術鑑賞する地元の人々の姿も多く見られる。トロントのように長く寒い冬を 楽しむにはアートは欠かせない存在となっているようだ。

トロントには斬新なデザインの建物が多く、それらが道ゆく人々の知的好奇心を刺激しているようだ。ロイヤル・オンタリオ博物館(通称ROM)はその代表例の一つ。周囲には大学のキャンパスや学生寮などが点在し、高級ブティックやハイエンドなホテルが集まるヨークヴィルというエリアに隣接しており、高層ビルが立ち並ぶシティーセンターとは趣きはかなり異なる。

大きな水晶が地上に突き刺さったかのようなデザインのエントランスが印象的だが、斬新な外観とは裏腹に館内は落ち着いた雰囲気となっている。自然史・文化博物館としてはカナダで最も大きな施設で、6万点もの展示品がのギャラリーに常時展示されている。徳川家ゆかりの所蔵品や、中国の国宝級で木製の仏像などアジア関連の貴重な品々の他、北米先住民の調度品や装束など民俗学的に素晴らしいコレクションの数々が常設されている。それらの多くはカナダで財を成した銀行家などの寄付で収集されたという。

ドネーション(寄付)で地元の人々に文化的価値を還元するという考えがトロントでは浸透している。その象徴がROMであり、所蔵品は後世に残す知的財産となる。「このシロサイの剥製は実際、動物園で飼育されていたサイなのです。絶滅危惧種ですが、ここで永遠の余生を子供たちのために過ごすことになりました」とボランティアガイドの方が説明してくれた。ROMには日中たくさん の子供たちが課外授業にやって来て、恐竜の化石やシロサイの剥製を前に腰を下ろし、引率する先生の説明に熱心に耳を傾けている。その光景はなんとも微笑ましく、心温まるものだった。

まるでそれ自体がアート作品のようなロイヤル・オンタリオ博物館の外観。

先住民が神話や伝説などを刻んだ丸太の彫刻、トーテムポールが展示されている。

四大陸をイメージしたイタリア製のモザイクが天井を飾る。

 

information

Art Gallery of Ontario
317 Dundas St., West Toronto, ON
TEL +1-416-979-6648
https://ago.ca/

Royal Ontario Museum
100 Queen’s Park, Toronto, ON
TEL +1-416-586-8000
https://www.rom.on.ca/

 

Eat & Explore オンリーワンの体験こそ旅の醍醐味

The Distillery Historic District

1830年代にトロントの大事な産業の一つだったウイスキー製造 。現在 、赤煉瓦の建物が並ぶ蒸留場 の跡地が再開発されて食と文化のテーマパークとなって引き継がれている。2003年にオープンした「ディスティラリー地区」がそれだ。敷地内は往時の面影を残しつつ、モダンな雰囲気に生まれ変わり、飲食店などが立ち並ぶ。元蒸留所のレンガや木材を活かしたレストランやバーには、ここでしか味わえないローカルビールやウイスキーを求めて昼間から観光客がやって来る人気スポットとなっている。

 

information

The Distillery Historic District
9 Trinity St., Suite 200, Toronto, ON
TEL +1-416-364-1177
https://www.thedistillerydistrict.com/

 

Eating Through TO

トロントで必ず行くべきレストラン50軒を紹介したり、食に関する様々な提案をするツアー会 社 、「イーティング・スルーT O 」がおすすめするのが、トロントのナイトシーンをローカルガイドと共に巡る「カクテル + タパスツアー」だ。地元の人で賑わうとっておきのバー3軒をおすすめのカクテルとタパスをつまみながらはしごする人気のツアーで、雪降る夜に地元の人たちに混じってグラスを傾ければ、新たなトロントが見えてくるはずだ。

 

information

Eating Through TO
https://eatingthroughto.com/

 

YOUR SHOP GIRL

限られた滞在時間で有効にショッピングをした い方には、ヨークヴィルという高級エリアをプライベート・ショッピング・コンシェルジュ(ショップ ガール)に案内してもらえるツアーがある。ヨーク ヴィルにはラグジュアリーで個性的なブティックが 多く目移りしてしまうが、「ユアショップガール」によるこのサービスを利用すればヨークヴィルのブ ティックを知り尽くしたコンシェルジュが同行してくれるのでストレスフリーでショッピングを楽しめる。日本には馴染みのないカナダ発のブランドを紹介してくれるのも嬉しい。

 

information

YOUR SHOP GIRL
http://www.yourshopgirl.com

 

Hotel トロントの摩天楼を 手中に収めるシティーリゾート
HOTEL X TORONTO ホテル エックス トロント

客室の窓からは湖や公園、さらにはCNタワーなどの高層ビル群を望む。

 

屋内施設でアクティブに過ごし 冬のトロント滞在を満喫する

大きな窓の外にはトロントのアイコンCNタワーや高層ビル群が煌めく。オンタリオ湖畔沿いに建つ好立地と充実したスポーツ設備が整うモダンなリゾートホテル。モノトーンのモザイク タイル敷きのフロアには色鮮やかな緑が映え、吹き抜けのエントランスは都会にありながら開放的なリゾートの雰囲気も漂う。

ディナーのみ営業のレストラン「ペトロス 」では厳選された食材をシンプルに仕上げる地中 海料理と共にオンタリオ産のワインのマッチングを。「ライブラリー・クラブ・ラウンジ」では、夕刻を迎えるとワインやチーズのサービスがあり、暖炉やゆったりとしたソファが確保された空間で優雅な時を過ごすことができる。

大型スクリーンを備えたシアターやカフェ、ライブラリーなどが備わり、あらゆるゲストが楽しめるように配慮されている。特筆すべきは降雪のあるトロントならではの屋内スポーツ施設の充実ぶりである。卓球やスカッシュ用コート、さらには全天候型のテニスコートは4面もあり、ホテルとは思えないほどの広さを誇るスポーツジムにはゲストだけでなく地元著名人も多く通うという。真冬でも水着で泳げる温水プールは、夏はオンタリオ湖を眺めながら日光浴を楽しめる。

高層ビル群と自然が共存するトロントを楽し むにはこれ以上ないロケーションのホテル・エックス・トロント。まさに都会のオアシスと言える ホテルに滞在すれば、季節を問わず心身ともに癒されること間違いない。

真冬でも楽しめる温水プールの他、スポーツ施設が充実している。

ベッドルームは大きな窓が特徴で明るく広々としている。

 

地中海料理をカジュアルな雰囲気で楽しめるメインレストラン「ペトロス 82」。

暖炉や色鮮やかな緑に彩られたエントランス。洗練された空間がゲストを迎えてくれる。

 

information

HOTEL X TORONTO
111 Prince Blvd, Toronto, ON
TEL +1-855-943-9300
https://hotelxtoronto.com/m