女性にも優雅な葉巻タイムを

トルセドール
ハバナの新市街、カリブ海を一望できる立地に建つラグジュアリーリゾートホテル「メリア・コイーバ」(Av.Paseo e/1ra y 3ra, Vedado, Habana)。ご覧のトルセドール(葉巻職人)は、ホテル内にあるハバナシガーのオフィシャルショップ「カサ・デル・ハバノ」に常駐。シガーファクトリーで経験を積んだ大ベテランで、彼が巻いた葉巻は同サロンで購入することができる。

葉巻の超一級品といえば、カリブの真珠ことキューバが産するハバナシガー。美しさ、味の深さにおいて、伝統的に世界中のシガー通を魅了し続けてきた。アフターディナーに極上シガーを楽しむ習慣のある欧州では、女性が葉巻をくゆらせるシーンを見かけるが、日本でもキャリアを積み、成功した女性が特別な日などに、とびっきりのハバナシガーをくゆらせることがじわじわと浸透してきている。そこで今回、年に一度、キューバ・ハバナで催される葉巻の新作発表会をかねるシガーの祭典<14thハバノス・フェスティバル2012>の模様をリポートする。ヘミングウェイが住んだ家や足跡も紹介し、世界有数のリゾートへと変貌しつつあるキューバの<今>を紹介したい。


XIV HABANOS FESTIVAL 2012

XIV HABANOS FESTIVAL

年に一度開催されるハバナシガーの祭典

 年に一度、世界中から資産家や実業家といった富裕層のシガー愛好家やリテーラーがキューバに集う葉巻の祭典〈ハバノス・フェスティバル〉。今年は2月27日のウェルカムカクテルパーティを皮切りに、3月2日のガラディナーまで、途中にシガー工場見学などを挟んで開催。ウェルカムカクテルパーティのテーマは、キューバ製シガーのフラッグシップブランド〈コイーバ〉、日をかえて実施された葉巻発見520 thアニバーサリーナイトパーティではトップブランド〈トリニダッド〉の特製ダブルリングや別ブランドの新作がお披露目。最終日のガラディナーでは〈ロメオYジュリエッタ〉新作特製BOX入りが配布され、それぞれ食間にもキューバが誇りを賭けて提供するスペシャルシガーが振る舞われた。ドレスアップした女性がエスコートされて来場し、優雅な手つきでシガーを堪能するシーンが至る所で見られた。なおウェルカムカクテルパーティの舞台に元クリームのジャック・ブルースが登場し、場内は一気にヒートアップ。サプライズド・ライヴには、惜しみない拍手が送られた。


XIV HABANOS FESTIVALXIV HABANOS FESTIVAL
XIV HABANOS FESTIVALXIV HABANOS FESTIVAL
左上/「葉巻発見520thアニバーサリーナイト」と名付けられたディナーでは、ご覧のように葉巻の女神たちから、この日のためだけの特製トリニダッド(スペシャルリング巻)が配られた。
右上/ガラディナーを満喫する、キューバが世界に誇る”キング・オブ・シンガーwithマンボ”ことアウグスト・エンリケス氏。彼は昨年、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブを率いて来日。東日本大震災チャリティーコンサートを行った。
左下/葉巻発見520thアニバーサリーナイトで催されたゴージャスなショー。
右下/ガラディナーでは食間にも葉巻が配られた。

ヘミングウェイの足跡をたどる

ヘミングウェイの足跡
「誰がために鐘は鳴る」を執筆したホテル「アンボス・ムンドス」。ヘミングウェイの部屋からは、ご覧のようにハバナ旧市街を展望できる。

名作を書き上げた自宅、ホテル。友と語り合ったバー。

 文豪アーネスト・ヘミングウェイは、1940年から20年間を多くの愛猫たちとキューバで過ごした。高台にあり、広大な敷地内に豊かな自然を取り込んだ住居「フィンカ・ヒビア」はサン・フランシスコ・パウラにあり、ヘミングウェイ博物館として公開されている。ハバナ旧市街からタクシーでおよそ15分で行くことができ、名作「老人と海」を創作した部屋、愛蔵本約8000冊が残るリビング、寝室をはじめ、衣類なども展示。庭では愛艇ピラール号を見ることもできる。早朝5時から正午まで、立ったままで向かったというタイプライターも残る。文豪の愛猫、その子孫たちの多くが、敷地内の土の中で眠っていると聞いた。なおハバナ旧市街には、「誰がために鐘は鳴る」を完成させたホテル「アンボス・ムンドス」があり、文豪の部屋に入ることができた。その部屋の窓から見下ろすハバナ市旧市街は絶景である。また、足しげく通い、甘み抜きのフローズンダイキリ「パパ・ダブル」を堪能したのが「フロリディータ」。好んで座ったカウンター席には、文豪の実物大の銅像が鎮座。もう一軒、文豪の行きつけで、キューバ発祥のカクテル「モヒート」が有名な「ラ・ボデギータ・デル・メディオ」も同じくハバナ市旧市街地にある。


キューバシガーを堪能する特別な場所

特別な場所
フィフスアベニュー沿いにあるハバナシガー・ブティック「カサ・デル・ハバノ」

職人が常駐し、ここでしか買えないシガーも用意

 ハバナ新市街の西エリアに、日本大使館をはじめとする重要な施設も建ち並ぶ高級住宅街がある。その一角にあるハバナシガー・ブティック「カサ・デル・ハバノ」には、葉タバコのカリスマ農園主だったベガス・ロバイナ氏の子息が常駐する。
 今回のキューバ取材、新旧市街地に点在するハバナシガーのオフィシャルショップ「カサ・デル・ハバノ」などにエスコート頂いたのは、日本時計輸入協会会長であり、業界屈指の葉巻愛好家として知られる小谷進氏(栄光時計代表取締役社長)である。そうした小谷氏が、このブティックを気に入っている理由は他にもある。バーが併設され、同店のトルセドールが巻いたシガーをキューバ産「ハバナクラブ」といったラム酒やモヒートなどのカクテルとともに楽しむことができるためだ。さらに奥にはレストランが連なり、家族や友人ら同伴者も存分に楽しめる趣向だ。「こちらはシガーを総合的に楽しむサロン的な要素を持ち、良質な葉巻の提供だけでなく、くつろぎ、語らうことができ、同伴者も飽きさせない空間作りができています」と小谷氏は絶賛する。
 フィフスアベニュー沿いにある同店には、ハバナ新市街地からタクシーで約10分ほどで到着。氏の語るハバナシガーの歴史、ブランドや種類ごとの味わいの特徴、各都市に向けた限定品などについての話に耳を傾けながら、極上シガーのやわらかな味わいを堪能した。


特別な場所特別な場所特別な場所
/ハバナシガーのカリスマ農園主だったベガス・ロバイナ氏の子息。
/店内には選んだ葉巻をくゆらせることができるバーも併設。
/このスペースでくつろぐ小谷氏。