NewYork Now & Next 時代が変わる時、何が起きるのか?
米国で起きた衝撃的な政権交代が決まった直後、New York マンハッタンに向かった。現地の知人、友人は一様にショックを受け「信じられない」「大変なことになる」といった反応で、いささか不安な気持ちでJFKに降り立ったのだが。日本で報道されていたような大規模なデモはすでに鎮静化し、拍子抜けするほどに世界のエンタテイメントシティとしての日常が戻っていた。そして今、マンハッタンは空前の不動産ブームである。史上最大規模の開発事業が行われている「ハドソンヤード」を始めとして、ビル建設のための多くのクレーン車が急ピッチで作業を進めている。トランプ政権はこれを加速する動きをするのは想像に難くない。
不動産のトレンドとともに、今再注目されるNY のエンタテイメントについてレポートしてみたい。
日本の通信界の雄、S氏の5兆円の投資の話を出すまでもなく、今後、米国には世界中の資金が集まってくると予測されている。米国が経済的に世界をリードするための規制緩和や大幅投資の政策がとられることは間違いない。特に不動産業界とその周辺はその恩恵を受けることだろう。史上初めてのビジネスマンからの転身ということでの様々な不確定要素はあるものの「不動産王」トランプ氏への経済面での期待は大きい。そこで現地日系不動産会社として、最多の物件を扱うリダックのシニアマネージャー岡畠氏に2016年を振り返るお話を伺った。
米国の好況な不動産市場 世界中から集まる投資家の資金
ホテル・大学・オフィスビルが続々と建つマンハッタン周辺
Relo Redac, Inc. Senior Manager
Manhattan Residential
岡畠 伸江
「私共は主に駐在員の方に賃貸物件を数多くご紹介していますが、投資家の方たちも気になるマンハッタンとその周辺の賃貸市場の推移を見ますと2008年リーマンショックで約5%下落したものの、その翌年には2007年レベルに回復し、その後も順調に右肩上がりのマーケットが続いており、空室率も2%以下の状況が続いています。最近では特に影響があると思われるのが雇用の拡大ですね。この数年で我社の周囲だけでも3軒のホテルが開業し、他にもメインストリート沿いに多くのホテルが開業を予定しており、観光業界が活発な動きを示しています。またルーズベルトアイランドに2017年に開設されるコーネル大学の進出の影響も大きいですね。教育関連の雇用が増大し、賃貸市場にも影響が出ています。物件の供給面を見ると、マンハッタン島の中だけでなく、周辺地域であるブルックリンやクインーズ、ロングアイランドなどで新規の大型ビルディングの開発が進んでいます。冬場のこの時期は閑散期ということもあり、新しくオープンしたビルディングが宣伝のため、毎晩のように不動産業者向けのオープンハウスを実施しています。
直近の賃貸市場の推移を見ますと、2016年前半はおだやかに上昇、後半は大型供給に季節的要因も重なり横ばいで推移しました。一方、マンハッタン周辺地域の新築、築浅ビルは強気に賃料を上げており、全体的に底上げの動きがみられました。今後の見通しはトランプ政権の影響をどう見るかで不透明な部分がありますが、賃料は地域によって1〜3%程度のなだらかな上昇傾向と予測しています。マンハッタンで30年の賃料推移を見ると、何回か一時的な下落も見られましたが、全体的には右肩上がりのマーケットが続いており、ニューヨークが世界最大のファイナンシャルセンターである限り、今後も安定的で底堅い賃貸需要が続くと考えています。ニューヨークに不動産投資をお考えの投資家の方には、利便性と眺望に優れたスタジオ(ワンルーム)、および1ベッドルーム(1LDK)が常に貸しやすく
お勧めです」
少し前まで、治安にやや問題のあったブルックリンエリアもかなり開発が進み、ミュージシャンやアーティストが多く住むファッショナブルな街に変わりつつある。
あの悲劇のワールドトレードセンターの地下には外光を採りいれた明るいショッピングストリートが広がり、ニュージャージーへの玄関口となるターミナルへと続く。
過去最大規模の開発が進むハドソンヤード。地下鉄駅とともに、住居、オフィスビル、ホテルなど複合施設が並び建ち、周囲の景観は一変することだろう。
不確定要素はあるもののトランプ政権は業界に好影響か
「過去に取り扱った物件で約5年前に販売した、タイムワーナービルと同じデザイナーが造ったブルックリンの人気ビルディングがあるのですが、青写真の段階でワンベッドルームを約50万ドルで販売しました。非常にデザイン性の高いビルだったのですが、今は同じ部屋が90万ドルします。注目のエリアとしては、これまでギャラリーや倉庫街がありアーティストにも人気だったブルックリン。数多くのビルが開発中で今後も人気が出そうです。
ブルックリンやハーレムなどはこれまで少し治安の面で不安な部分があったのですが、今は一部を除きがらりと雰囲気が変わり、おしゃれで安全な地区になっています。ただ駐在員の方でこれらのエリアにお住まいになる方は殆どいらっしゃいません。基本的に通勤の便利なマンハッタンミッドタウンの築浅物件が好まれます。又、今まで郊外に住まれていたご家族帯同の駐在員も最近は便利なマンハッタンやその周辺での生活を望まれる傾向にあります。個人的には米国では年代を経たタウンハウスも造りがしっかりしていれば価格も下がらないので狙い目ではあると思うのですが…。最近の話題としては、セントラルパーク周辺のビリオネアズローには今後、2019年までに高額物件が建ち並び、価格帯は1件10億〜100億円クラスとなります。本当にごく限られた人しか手が出ない価格帯ですが、世界中から富裕層が集まるニューヨークだからこそ存在する超高額物件市場と言えます。今後の展望としては、新政権の誕生についてトランプ氏当選直後はニューヨーカーからの反発の声が連日報道されましたが、不動産業界ではむしろ「不動産王」への政権交代に好影響を期待する声が強いのが実情です」
Manhattan Area
駐在員に圧倒的な人気のマンハッタン。周辺も賃貸料金は右肩上がりが続く
単身赴任やご夫婦二人の駐在員には圧倒的に人気の高いマンハッタン島内。車も必要なく、治安や利便性、ショッピングも便利などやはり周辺エリアとは条件が段違い。今回はマンハッタンの中心部にあるリノベーション物件とパークビューが楽しめるブライアント・パークの物件を紹介したい。料金もやや高めだが、賃貸需要の上昇から考えれば投資効率の高い物件と言えよう。
ブロードウェイ劇場街に近いリノベーションされた人気の高級物件
NINE52(416W52NYC)
展望デッキからはニューヨークの摩天楼が見渡せる。
マンハッタン中心部でこの環境はなかなかないものだ。
米国と日本の不動産価値の大きく異なるポイントとして「建物の価値」が長年保持されるということがある。「NINE52」は1940年築。日本であれば建物価格は無いも同然。しかしリノベーションされた内装により「NINE52」は最新の設備と豪華な内装が完備され、新築物件同様の賃貸収入が見込まれる。場所はブロードウェイ劇場街近く、レストランやカフェも多数並ぶエリア。地下鉄駅まで徒歩6分、セントラルパークも徒歩10分と生活にも仕事にも申し分ない。ワインセラーやフィットネスジム、プレイルームなども完備。展望デッキからの景色もなかなか素晴らしい。マンハッタンの暮らしを存分に満喫できる。日本人の駐在員夫婦や単身赴任者などにも大人気で、投資物件としてのポテンシャルは高い。
カフェやラウンジなども用意され、ちょっとした打ち合わせや会合なども開けるようなスペースも用意される。
9th.Aveから一歩中に位置する「NINE52」は風景に溶け込むような落ち着いた外装色が魅力的。ドアを開ければ24時間のドアマンが受け付けてくれる。
コンパクトながら機能的な設えが施されている室内では、ニューヨーカーらしいインテリアが良く似合う。
落ち着いたトーンを使用したベッドルーム。日々戦うビジネスマンの心と身体を癒してくれるだろう。
高級コンドミニアムには定番のトレーニングルーム。エリートは体力的にもエリートでなくてはならない。
コンパクトでスタイリッシュなキッチン回り。ビルトインの洗濯機、乾燥機などもあり生活に不便はない。
416 West 52nd Street, New York, NY 10019 (9th Ave. と 10th Ave. の間)
1 ベッドルーム、1 バス 731sqf ~ 827sqf $1,135,000 ~ $1,621,000
2 ベッドルーム、2 バス 960sqf ~ 1386sqf $1,480,000 ~ $2,249,000
3 ベッドルーム、 2.5 バス 1929sqf $2,985,000
1 ベッドルーム、 1 バス 731sqf $1,135,000 想定家賃 $3,475(税・諸費用別)
眼下にはブライアント・パーク。利便性と豪華仕様はエリア随一
THE BRYANT
周辺のオフィスのニューヨーカーたちがこぞって集まるブライアント・パーク。そのすぐ脇の道路にそびえるのが「THE BRYANT」だ。
ミッドタウンイースト、マンハッタンのまさに中心部にあるブライアント・パーク。NY市民の憩いの場であるこの公園を見下ろすパークビューを手にできるのがこの「THE BRYANT」だ。イギリスの著名建築家、デビッド・チッパーフィールド氏によるデザインは一見シンプルに見えるがファサードからインテリアに至るまで、慎重に計算しつくされたもの。北と南にある部屋には、眺望の良い角のリビングルームがそれぞれ確保され、ブライアント・パーク方面からの最大の日照とスカイラインへの眺めを楽しむことが出来る。利便性はもちろんニューヨーク随一。近くにはフィフスアベニューのショッピング街に加え、ホールフーズ・マーケットも近々オープン予定。「THEBRYANT」はマンハッタンの新しいランドマークとなるだろう。
著名な一流建築家によってデザインされた「THE BRYANT」の外観は一見シンプルながら優雅で美しい。
開口部を大きくとったダイニングは昼間は陽光を引き入れ、夜間はNYの夜景を存分に楽しめる。
シームレスな間取りで広がりを持たせたリビングでは家族のコミュニケーションがスムーズに行われる。
角部屋から大きく陽光を採りいれるデザインによって、眺望の素晴らしさを満喫できる部屋になっている。
489 Fifth Avenue, PH New York, NY 10017
1 ベッドルーム、1 バス 1,067sqf ~ $2,315,000 ~ $2,785,000
2 ベッドルーム、2 バス 1,329sqf ~ $3,510,000 ~ $5,245,000
3 ベッドルーム、3 バス、パウダールーム 2,068sqf $6,715,000
想定家賃 1 ベッドルーム、1 バス 1,074sqf $6,500(税・諸費用別)
アメリカ不動産投資 開発が相次ぐ周辺地域にも期待
マンハッタン島の広さと言うと、ちょうど山手線の内側ぐらい。この限られた土地の中に全世界の資金が一極集中している。そして世界の金融の中心地であるウォールストリートがこの地から移動することはまずありえない。トランプ政権発足により規制緩和や大規模投資が確実な現在、さらに資金がこの場所に集中すると予測されている。ゆえにこの地に資産を持つことは将来的にも安定した資産価値を保つことが出来るのである。
強い賃貸需要と安定市場が魅力
米国初の経済人出身の大統領ということで、選挙中の言動により、批判的な声のある一方、景気対策への期待の大きいトランプ政権。就任後の経済政策に要注目したい。(写真はトランプホテル&タワーズ)
米国の持家比率は持ち家が6割、賃貸が4割と持ち家比率が高いが、マンハッタン島に限れば逆に賃貸が7割であり、賃貸の比率が非常に高い。ビジネスの中心地であるマンハッタンでは米国永住者に加えて、駐在員、長期旅行者、学生などの賃貸需要が強いため、低い空室率を保つことが出来るのである。加えて島内、周辺区域での相次ぐホテル、大学(コーネルTECH)の進出に伴い、教育、健康、サービス産業における雇用拡大でさらに賃貸需要が高まっている。これに対し、マンハッタン周辺地域も含めた大型供給(ミッドタウンウエスト、ブルックリン、クイーンズ)はあるものの、ファミリー向けの郊外優良学校区は限定的な供給となっている。
マンハッタンの住宅販売の実に2割を海外投資家が占め、さらに国内投資家がそれに加わり、マンハッタンでは自宅購入よりも投資購入が大きな比重を占める。そのため、アメリカ国内の景気や、自宅購入者の不動産市場の影響も受けにくい。その時々の景気の良い海外投資家が入れ替わり、市場を支えるので安定した市場となるのである。
全米およびNY の空室率の推移(2002 年~2015 年)
全米と比べると、マンハッタンの賃貸物件の空室率は圧倒的に低いことがわかるだろう。リーマンショック翌年の2009 年にはさすがに多少影響は出たものの小幅にとどまり、翌年にはすぐに回復している。
全米およびNYの家賃の推移(2004 年~2014 年 ※2004 年を100 とする)
順調に人口増加が進み、失業率も低下しつつある米国では、家賃も右肩上がりに推移している。自宅所有率は低下していて、購入予備軍が賃貸市場を押し上げている。2016年はマンハッタンは緩やかに右肩上がり、周辺地域は強気に底上げ、郊外は物件不足により前年並みの家賃上昇が予測されている。
※リダック社「ニューヨーク不動産市況」より
安定した資産形成と米国投資ならではの節税方法
現在の日本の不動産市場においては、10年、20年たった中古のマンションなどの価値は購入価格の数分の一になってしまうことは珍しくない。ところが米国では、安定した中古物件の需要により、長期的に見ると上下しながらインフレーションとともに値上がりする傾向にある。このため新築で購入した物件が20年後には購入時の2倍〜3倍になることが起こるため、何度も買い替えを続けながら、資産形成をすることが可能なのが、米国の不動産市場これに対し、マンハッタン周辺地域も含めた大型供給(ミッドタウンウエスト、ブルックリン、クイーンズ)はあるものの、ファミリー向けの郊外優良学校区は限定的な供給となっている。マンハッタンの住宅販売の実に2割を海外投資家が占め、さらに国内投資家がそれに加わり、マンハッタンでは自宅購入よりも投資購入が大きな比重を占める。そのため、アメリカ国内の景気や、自宅購入者の不動産市場の影響も受けにくい。その時々の景気の良い海外投資家が入れ替わり、市場を支えるので安定した市場となるのである。なのだ。減価償却についても日本とは逆で、土地(2割)よりも建物(8割)の比率が高く、27・5年で均等償却する。このため日本のように建物(2割)を47年で償却する場合と大きな償却額の差になる。
日本からの直接投資では米国の不動産投資で出た損は損益通算できるため、大幅な節税につながる。いずれにせよ米国では、大きな不動産投資のチャンスが巡ってきていることは知っておきたい。
ツインタワー亡き後、ニューヨークのビルのシンボルと言えばエンパイア・ステートビルの他にはない。しかしこの後、次々と新しいビルが立ち並び、新たなランドマーク、シンボルが建つことが予測されている。。
世界一のエンタテイメント・シティとして、ニューヨークは常に世界中から注目を集めている。巨大なネオンサインの広告や液晶画面に彩られたタイムズスクエア周辺の喧騒はこれからも未来永劫続くであろう。
マンハッタンの街中をよく見ると、意外なほど古い建物が多く見られる。しかし賃貸需要の高いこの場所では、どんなに古くても、きちんとリノベーションがなされていれば新築並みの家賃価格で入居者が入ってくるのである。
※ $1ミリオンの物件の場合
アメリカ:$1,000,000 × 80% / 27.5 年= $29,091/年
日 本:$1,000,000 × 20% / 47 年= $4,255/年