越南旅情
THE VIETAGE BY ANANTARA
ベトナム鉄道の旅 南北をつなぐ豪華列車にて
ラグジュアリーホテルのきめ細やかなサービスが受けられる「THE VIETAGE」の車内
せわしない移動の多い旅が嫌になったならば、少しゆっくりと車窓を眺めながら過ごす、贅沢な鉄道の旅はいかがだろうか。2020年にスタートしたばかりの「THE VIETAGE」はベトナムを南北につなぐ最大12名だけのための特別客車。ラグジュアリーホテル&リゾートを展開するアナンタラの運営ならではの美食とホスピタリティを楽しめる。地域ごとに全く異なる顔を見せるベトナムの魅力を味わうスローな旅の魅力をご紹介したい。
Text: Takamasa Wada Photo: Masahiro Ohashi
協力: Anantara Hotels & Resorts/VIETNAM AIRLINES
THE VIETAGE BY Anantara
ベトナム中部を巡る鉄道の旅
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(1)車窓をゆっくりと流れるベトナム中部の田舎の風景はどこか郷愁を感じさせる。(2)忙しなく仕事をしながらも、いつでも笑顔で対応してくれる「THE VIETAGE」のスタッフ。(3)ワインやカクテルなど、いつでも注文できる「THE VIETAGE」の車内。ラグジュアリーホテルの運営ならではの細やかなサービスが受けられる。
「THE VIETAGE」その名もベトナムでの贅沢な旅を意味して名づけられたこの列車では、最大12名の乗客が、いかに心地良く乗車時間を過ごしてくれるのか、考えつくしているのが感じられる。このコンパクトな列車の中で、新鮮な素材と洗練された味付けのさまざまな料理が提供されているのには驚嘆する。乗客は好きな時にバーコーナーで好きな飲み物を注文できる。ダナンからクイニョンまでの6時間はあっという間に感じられた。
HOI AN
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(1)「ランタンの街」ホイアンは夕暮れから灯りがともり、雰囲気が一変する。(2)世界遺産に指定されているホイアンの街はさまざまな異文化が溶け合う独特の雰囲気にあふれている。(3)平屋の小さな商店が連なるホイアンの商店街。飲食店や雑貨店にもランタンの灯がともされる。
世界遺産の街として知られるホイアン。貿易港として栄え、アジアの融合された独特の文化を感じさせる。1593年に日本人が架けた「日本橋」など異文化を取り入れた風景や、中国風の建物、フランス統治時代の名残のフレンチコロニアル風の建物など見どころは多いがその歴史を知って訪れるとまた味わい深い。食事も地元の新鮮な海鮮を中心に、中華やフレンチベトナミーズと言われるベトナムならではの味わいを楽しんでみたい。
Thu Bon River
手漕ぎの小さな観光船がひしめく船寄場。走る船から川面に映るランタンの灯りが美しい。
ホイアン市を流れるトゥボン川は今でこそ昼も夜も大小の観光船が行き交っているが、古くから貿易が行われていた歴史的な交通の要所であった。この場所では旧暦の毎月14日はランタン祭りが行われ多くの観光客が訪れている。「灯篭流し」は本来精霊を敬い、先祖を偲ぶための行事であるが、観光客にとっては邪気を払い、願いを込めるというような意味合いで行われているという。
QUY NHON
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(1)クイニョンに最寄りの駅となるジウチー駅(Dieu Tri)からホテルのあるバイセップビーチまでは車で30分ほど。(2)バイセップの漁村にある食堂では新鮮な魚介類がタライに並んでいた。(3)クイニョンではロブスターの養殖がおこなわれていて、地元の名産品となっている。タライで選んだサイズのものをそのまま裏で調理してもってきてくれる。(4)目の前でとれた海老も新鮮で身が詰まっていて大変美味。(5)新鮮な牡蠣を旨味たっぷりのスープにして提供してくれた。
ベトナム中南部の都市であるクイニョン。ディウトリ駅で降りると、そのローカルな雰囲気に癒やされる、まだ知る人の少ない隠れ家的なリゾート地だ。今はその豊かな自然と海の美しさで海岸周辺には続々とリゾートホテルが進出しつつあるが、少し前までは静かな田舎の漁村だったそうだ。竹の小舟で沖合に出る伝統漁で知られる漁村バイセップはロブスターの養殖でも知られ、海岸ではとれたての新鮮な海鮮をその場で調理してくれる店も点在している。
12名限定の特別車両にて旅するベトナム中部の旅
ベトナム中部を走る鉄道に設けられた、6室12名限定の特別車両「THE VIETAGE BY ANANTARA」。ダナンからゆっくりとベトナムの車窓を眺めながらクイニョン、ニャチャンまで旅する贅沢な時間を過ごすのはいかがだろうか。
ダナン駅のVIPルームでのウエルカムドリンクから特別なこの旅は始まる。アオザイに身を包んだ麗しい女性に専用客車に案内されると、すぐに笑顔のバトラーが飲み物の注文にやって来る。客車にはバーコーナーやマッサージルームなども用意されている。そして席に落ち着くと間もなく、地元の新鮮な食材を使ったバラエティに富んだ料理が、ラグジュアリーホテルのクオリティで提供されるのだ。食後のデザートに至るまで列車内とは思えない、細やかな神経が注がれていることが感じられる。
客車を運営するアナンタラホテルはタイ発祥で、ベトナムでもラグジュアリーホテル&リゾートを展開している。「THE VIETAGE」を利用するならば今回のように、ホイアンとクイニョンそれぞれのアナンタラホテルを利用するのがベストチョイスだろう。ダナン空港を降り立ったあとは、行きも帰りの電車のスケジュールもホテルスタッフにすべて任せ、旅を楽しむことに集中できるからだ。クイニョンから深夜、ダナンに戻る場合は2席をつなげたスリーパーブースの利用も可能。都市ごとに異なるベトナムの文化を存分に楽しめる新しい旅のスタイルを体験できることだろう。
Information
THE VIETAGE BY ANANTARA
https://www.thevietagetrain.com
ホイアン歴史地区にある落ち着いたブティックホテル
ユネスコの世界遺産であるホイアンの歴史地区を抜けてすぐ、リバーサイドに建つ瀟洒なコロニアルスタイルの5つ星ホテルが「アナンタラ・ホイアン・リゾート」だ。クラシカルな落ち着いたデザインの客室と美しい庭園を囲むように建つ低層のこのホテルは、絶妙に風景になじみながら、ひとたび敷地内に入れば、ホイアンの街の賑やかさとはまた違ったラグジュアリーな環境とともに、一流のサービスを味わうことができる。リバービューのスイートルームにはトゥボン川の川面を望むバルコニーやテラスがあり、ドリンクを楽しみながらこの場所でゆったりとした時間を過ごすのも良いだろう。敷地内のレストランやカフェには地元のスタイリッシュなアーティストの作品が飾られていてベトナムの文化を存分に感じられる。
また敷地内の桟橋から人気のリバークルーズに出ることができるのもうれしい。ディナーは川に面したレストランで行き交う観光船を眺めながら地元食材を使ったホイアンの地元料理を楽しみたい。ホテル周辺には「日本橋」など日本や大陸などの異文化が混然と交じり合う、歴史地区ならではの観光エリアが徒歩圏内に広がる最高の立地。ダナン空港から車で約30分。ベトナム中部旅行の起点とするにもベストな場所にあると言えるだろう。
Information
ANANTARA HOI AN RESORT
1 Pham Hong Thai Street, Hoi An City, Quang Nam Province
https://www.anantara.com/ja/hoi-an
美しい海の景観と美食を隠れ家リゾートで味わう
「THE VIETAGE」に乗車してから約6時間の旅を終え、ダナンとは違うローカルな雰囲気のあるクイニョンの駅にたどりつく。そこからは迎えの車で40分ほど。海岸線を横目に見ながら緑深い丘へと向かう。見えてくるのは美しいプライベート・ビーチに面した丘の中腹にある5つ星の高級ビーチ・リゾート、「アナンタラ・クイニョン・ヴィラ」だ。
海を見下ろす絶景のロケーションを持つ170~184㎡の広々としたオーシャンビュー・ヴィラ、そのままプライベート・ビーチに飛び出せる、海岸線にある174~348㎡のビーチ・フロント・ヴィラがあり、広大な敷地の中に計26室が用意されている。すべての部屋はオーシャンビューとなり、それぞれにプライベート・インフィニティプールが用意されている。
バトラーに注文すれば、バーベキューや飲み物など、滞在中、何もせずに部屋で過ごすためのすべてが用意される。デッキスペースからシャンパンを傾けつつ海に沈む夕陽を眺め、夜は星空を堪能するのも良いだろう。景色を楽しみながら広々としたバスタブにゆったりと浸かり、部屋で滞在時間の大半を過ごすのもこのホテルならではの楽しみ方だ。
メインダイニングでは目の前の海でとれた新鮮な魚介類を使用した多国籍料理を楽しむことができる。ビーチ・リゾートとしてはまだ知る人の少ない隠れ家のような豪華リゾート。大切な人とともにゆっくりと過ごすには絶好の場所である。
Information
ANANTARA QUY NHON VILLAS
Bai Dai, Ghenh Rang, Quy Nhon City, Binh Dinh Province
https://www.anantara.com/ja/quy-nho
Vietnam TIPS
ベトナム各地を旅するなら路線充実のベトナムエアーの直行便で
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(1)ボーイング787などの最新鋭の機材を使用するベトナム航空。(2)ビジネスクラスの利用であればハノイ・ノイバイ国際空港やホーチミン・タンソンニャット国際空港のベトナム航空ラウンジでゆとりのひとときを味わえる。(3)ベトナム航空では伝統的な民族衣装のアオザイを着たクルーがもてなしてくれる。(4)フルフラットにして熟睡できるB787のビジネスクラスシート。(5)ビジネスクラスでは日本食でのフルコースも選択できるのもうれしい。
直行便で行けば意外に近い、ベトナム航空利用が便利で安心
南北に長く広がっているベトナム。利用空港によって到着時間は異なるが、直行便なら、おおむね5時間から6時間強となり、海外としてはとても手軽に訪れることのできる国。そんなベトナムに行くなら今回利用したベトナム航空がベストセレクト。現在はベトナム国内21都市、海外30の都市を結ぶ計100路線で、ボーイング787やエアバスA350-900XWBなどの最新鋭の機材で運航されている。東京成田・東京羽田・名古屋・大阪・福岡の5つの空港から、ハノイおよびホーチミンへ、東京成田からダナンへ運航。日越間の最大輸送を誇る。APEX(Airline Passenger Experience Association)において、2024年、2025年と続けて「5スター航空会社」に認定されるなど、安心・安全なフライトを約束してくれるだろう。
ビジネスクラス利用で快適なベトナムへの旅を
ビジネスクラスの利用であれば、ハノイ・ノイバイ国際空港、ホーチミン・タンソンニャット国際空港のベトナム航空ラウンジを利用できる。フォーや春巻きなどのベトナム料理のほか、洋食、フルーツなどがビュッフェ形式で楽しめる軽食コーナーや、アルコール類も豊富にそろったバーカウンター、ビジネスセンター、マッサージチェアなどが用意されている。 またビジネスクラスの食事ではアミューズ・ブーシュと食前酒から始まり、スープ、メイン(選択可)、チーズ&フルーツ、デザートなど、長距離路線並みのフルコースが提供されるのもうれしい。そしてビジネスクラスでは日本食でのフルコースも選択できる。リラックスしたベトナムの旅の道程を楽しむならベトナムエアーのビジネスクラスを必ず利用したい。
Information
ベトナム航空
www.vietnamairlines.com
Instagram @vietnamairlines_japan